蒼の瞳、紅の瞳
■ 27.追いかけっこの終わり

一部始終を見ていた隊員たちは咲夜の実力に度肝を抜かれていた。
「咲夜さんって、本当に規格外だ。あれだけやって、息の乱れも見られない。」
イヅルがポツリとつぶやく。
「あぁ。でも、あれについていける朽木隊長も十分すごいな。俺は途中途中見失ったよ。」
イヅルに同意した修兵が言う。


「鬼道と白打だけでこんな戦いになるんだな。」
恋次が呆けたように言った。
「そうだね。僕は鬼道の可能性についてもう一度見直してみようと思う。雛森君にも教えてもらおうかな。」


「俺は、卍解をもっと磨く。体も鍛える。・・・鬼道は苦手なんだ。」
「阿散井君はそれでもいいさ。僕は君ほど、力強くはないからね。だから、戦いは効率的に行わなければならない。斬拳走鬼をバランスよく使って。」
「俺は・・・とりあえず卍解を習得する。もちろん、鬼道も瞬歩も斬術も磨くがな。」


「こんなに近くで隊長格同士の戦いを見られるなんて滅多にないことだから、勉強になったよ。あとで、技術開発局に行ってカメラの映像をコピーしてもらってこよう。」
「そうだな。」
「つか、咲夜さんて何人捕まえてんだ?」


「えーと、大前田副隊長、斑目三席、綾瀬川五席、雛森君、京楽隊長、日番谷隊長、朽木隊長、それと僕ら三人。」
「まじかよ。隊長三人も捕まえてんのかよ。いや、京楽隊長はほぼ無抵抗だったか。それにしてもあの人一体何者なんだ?」
「さぁ?謎の多い人です。とりあえず解っているのは恐ろしく強いということと、いろいろ無自覚なことぐらいですかね。」


『いやぁ、楽しかった!!』
閉会式を終えて、白哉とともに帰宅していた咲夜はそう言った。
今日も朽木家で夕餉のご相伴に預かるつもりである。
表彰式で結果発表がされたが、もちろん一位は咲夜であった。
「嬉しそうだな。」


『そりゃあね。金一封はどうでもいいとして、休暇が増えるんだぞ?こんなにうれしいことはないじゃないか!!それに、見たか?あの、私のことを知らない隊士たちの驚いた顔!』
「あぁ。」


あの後、ついでに彼女が上流貴族の生れであること、そして私と従姉弟同士であることが隊士の前で公表された。
浮竹や京楽と同期であることは公にはしないらしい。
十三番隊の隊士たちには知れ渡っているが。
朽木家の名を知らせておけば、その必要もない。
これで、もうあのような文が届くこともないだろう。


だが、彼らの目に浮かんでいたのは驚きだけではなかった。
恋敵が増えるのは時間の問題か。
白哉は隣の咲夜を横目で見つつ、本人がそれに全く気が付いていないことにため息をつきたくなった。
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