チーター観察日記(火)



○月△日 火曜日

今日は引き続き同じ島に滞在。ログが溜まるのには四日掛かるらしいから、その間にまた面白いことでも起これば良いんだけど。

あ、昨日は街で宿を取ってそこに泊まったわ。あたしとロビンが同じ部屋。あとはルフィとゾロ、ウソップとサンジくん、チョッパーと名前がそれぞれ相部屋よ。





チーター観察日記




○月△日 火曜日 続き

今日も天気は快晴。昨日ちらっと見たけど、街の雰囲気も穏やかで家族連れが多かった。街を縦断するレンガ通りにはパラソルが並んでいて、いつでも好きな時に休める。

せっかくだし、今日は名前を連れてショッピングにでも行こうと思うわ。




「「ぎゃあああああ!!」」


朝、何を着て出掛けようかと服を選んでいる最中。隣の部屋からこの爽やかな朝には不釣り合いな叫び声が響いた。手に持ったハンガーがみしり、と嫌な音を立てる。


「隣はたしか、名前と船医さんの部屋よね?」
「ええ、そうよ」


足を組んで本を読んでいた同室のロビンは、声がした方の壁を見て首を傾げた。

朝っぱらから何やってんのよ、宿から追い出されるようなことになったらどうすんのよ、と言うか今度は何をしでかしたのよ。

そんなイライラを胸の内に押し留め、選びかけの服をベッドの上に放り投げる。ちょっと注意してくる。それだけ言って部屋を出れば、後ろからロビンの行ってらっしゃい、なんて穏やかな声が聞こえた。




「ややややや、ヤバイぞチョッパー!これ、もどれなくなったりしたら…」
「だ、だからおれはやめようって言ったんだ!あれは劇薬だし、おれしか使ったことなかったから…!」
「だって同じゾオン系だろ!?ふつうだいじょぶだと思うって!」
「何が大丈夫なのよ」

「「!?」」


部屋に入ってみると、二人はベッドの隅に隠れてこそこそと何かを話していた。あたしが覗き込む直前、名前はなぜかシーツにくるまって隠れようとしたけど。何よ、それで隠れたつもり?チョッパーも角と帽子が隠れられてないわ。


「ナナナナナミ!?」
「あんたら朝から煩いのよ。もうちょっと静かにできないの?」
「あ、いや、ゴメン、ちょっと、その…ビックリして…」
「あんたはいつまで隠れてるつもり、よ!」
「うわっ」


叱られてるって言うのに顔も出そうとしない名前。普段ならそんなことしないのに、なんて思いながらあたしはシーツを剥いだ。

だけど、そこから出てきたのは…。


「ウ、ソ…」
「ご、ごめんなさ、い…?」


ふわふわの金髪に金色の吊り目。それはたしかに名前の特徴でもある。でも…。

元々猫っ毛だった金髪は更にふわふわでまるで綿毛か何かみたいだし、吊り目も普段ほどきつく上がっているわけでもなく、頬はふっくらと柔らかそうで、筋肉質だった腕や足もなんだか柔らかそうで…。


「…って、ちょっとどういうことよ!?なんであんた子供になってるの!?」
「ゴメン、ナミ…!おれのランブルボールの波長が名前には合わなかったみたいで、変な変形しちゃったんだ…」
「いや、そもそもたべたいって言い出したのおれだし…じごーじとくなんだって」


シーツを剥がれた名前は体の大きさが変わった時に脱げてしまったのか、黒の長袖を一枚着ているだけ。

一緒にいたのがチョッパーで、最初に来たのがあたしで本当に良かったわ。

それにしても…。


(何なのこの子、すっごく可愛い)
「ナ、ナミ…?」


舌っ足らずな口調も、きょとん、とした顔も、ふわふわの髪も見開かれた目も、普段の見慣れた名前のものとはどれも違って見えて。思わずぎゅっと抱き締めれば、一拍遅れて名前も抱き締め返してくれた。

ああ、これで今日の予定は決まりね!名前の服を買いに行かなくちゃ!




火 曜 日

「おや、可愛いお嬢さん方だね」
「坊主、姉ちゃんとデートかい?羨ましいねえ」
(やっぱり名前は女の子にも男の子にも見えるのね)



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