スモーカーさん誕生日1



(たしぎ視点)


今、私の隣でテキパキと指示を出しているこの人は…一体誰なんでしょう。


「一等部隊は港の警備へ。最近海賊以外にも荒っぽいのが多いらしいんで。二等部隊は市中巡察、手の空いた人から今日届いた武器の点検を頼みます。ああ、誰か二人くらい俺と一緒に来て欲しいっす。昨日捕まえた海賊を引き渡す予定になってるんで」


書類の束を片手に抱えて各部署に指示を出しているのは紛れもなく名前少尉。…のはずなんですが、こんなにきちんと仕事をされているところを見るのは、なんと言いますか…珍しいです。

普段の名前少尉と言えば、遅刻は当たり前、サボリも当たり前。戦闘となれば先陣を切ってくれることも多いのですが、基本的にスモーカー大佐の言うことしか聞かない上司…という印象。無理に仕事させようとすれば悪魔の実の能力を使って逃げますし、部下である私達の手には負えません。

そんな名前少尉が真面目に仕事していらっしゃるなんて…。

思わず目の前の光景に呆然と立ち尽くしていると、私に気付いたらしい名前少尉がにこり、と笑った。


「お疲れさまっす、たしぎさん」
「…あ、はい!お疲れさまです!少尉!」
「急で悪いんすけど、この書類本部に送っといてもらっていいすか?」
「は、はい!分かりました!」
「あとこれ、この間のお返しっす」
「へ?」


そう言って書類と一緒に渡されたのは、綺麗にラッピングされた手の平くらいの大きさの包み。そこで初めて、今日が何の日だったかを思い出しました。


「名前少尉」
「なんすか?」
「ありがとうございます。今日一日、頑張って下さいね!」
「はい!もちろんっすよ!」




WHITE DAY's

彼にとって、世界で一番大切な人の日


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