ハロウィン5
(ナミ視点)
あんた、最初はシーツねだりに来ただけだったはずよね?なのになんなのその格好。ものっすごくハロウィン仕様な上にさっきは倉庫でルフィ達と煩いくらい騒いでたし…。
今は今でその手に持ってる衣装がハロウィン過ぎてあたし、ちょっと頭痛いんだけど。
「ナミの衣装はこれな」
「名前…あんた、ミニスカ魔女の衣装なんて買うの恥ずかしくなかったの?」
「まあ、そんなには」
「はあ…。分かったわよ、着れば良いんでしょ?」
溜め息を吐きながら名前が持つミニスカ魔女の衣装を受け取る。名前の後ろを見たらご丁寧にとんがり帽子まで用意されてて思わず苦笑い。この子、ホントにハロウィン楽しみにしてたのね。
改めて名前の方を見てみたら、頭に被ったジャックランタンのせいで分かりにくいけど楽しそうに笑っているのが分かった。ったく、そんな顔されたら何も言えなくなっちゃうじゃない。
「あ、そうだ。ロビンにも衣装渡してえんだが、」
「あら、あたしにも用意してくれたの?」
嬉しいわ、と言ってクスクス笑うその声に振り返れば、やんわりと微笑むロビンがそこに居た。
「ロビンにはロングスカートの魔女衣装だ」
「航海士さんとお揃いなのね」
「あ、ホントだ。デザインが似てる」
「ちゃんと二人に似合いそうなの買って来たんだ」
だから絶対似合う、と自信たっぷりに衣装を差し出す名前。気付いたらあたしもロビンも名前にありがとうと言って笑っていた。
これだけ自信があるってことは、それだけ悩んで選んで来てくれたってことでしょ?あれでもない、これでもない、なんて選ぶ名前の姿を想像したら、また笑みが零れた。
せっかくここまで用意してくれたのに楽しまないってのは損ね。こうなったら思いっきり楽しんでやろうじゃない。それに、お祭りごとや宴が好きなのは何もルフィ達だけじゃないのよ?
「じゃあ航海士さん、あたし達は部屋で着替えてきましょうか?」
「そうね。…あ、そういえば」
一つ、思い出したことがあって部屋に向かおうとした足を止めた。まだ何か準備があるのか知らないけど、名前は後ろに置いていた大きな袋を抱えてどこかへ行こうとしているところだった。それを引き止めて、あたしは首を傾げる。
「あんた、最初に借りてったシーツはどうなったの?」
「ん?ああ、それなら…」
あっちに、と言って名前が船首の方を指差す。釣られてその方向を見て納得。フランケンシュタインに扮したフランキーと、ひらひら踊るシーツのお化け三人がそこに居た。…ブルックも一緒に居るんだけど、頭が妙に賑やかなのよね。どうせ名前の仕業なんでしょうけど。
「後であいつらに汚さないようにって言っといて」
「了解」
ま、あんまり期待はすんなと続けられて、思わず顔を顰めた。ボロボロになったシーツが目に浮かんだのよ…。
何にせよ、ハロウィンに浮かれてるのはもう名前だけじゃないようだし。今日くらいは多目に見てやっても良いかもね。
ふわりふわり
シーツのお化けと見習い魔女
…となると、あとはあの二人だけかしら?シーツのお化け三人
ルフィ、ウソップ、チョッパー
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207β