片貝へ


手紙、読んだぞ。通夜の時にお前の親から渡された。…ったく、お前は本当にどうしようもないくらい馬鹿だな。ありがとうなんて聞き飽きたよ。最近のお前はそればっかりだったから。


皆にありがとうって言って回ってた日があっただろ?片貝が本当に嬉しそうに言うもんだから、皆も恥ずかしそうだった。それで、皆も薄々気付いたんだろうな。すごく悲しんでたけど、今回のことはあまり驚いてないみたいだった。お前のことだ、どうせ家族にもそんな感じだったんだろ。医者が“どうして生きていないのか、分からない”なんて言っても怒らなかったらしい。付き添いで行った響木監督からそう聞いた。


願いのことなんだが、おはようとか、話すとか、笑わせるとか、当たり前のことなんだけど、今思い出すと、その……愛しいって、思える。…お前よくこんなこと言えたな。俺は文字に書くだけでいっぱいいっぱいだよ…。

ああ、泣いたり喧嘩したりってのはものすごく不本意だった。それ頼んだ奴って性格悪くないか?…まあ、しないよりはした方が近くなれるって気はするけどさ。


…もし、だ。片貝が何も言わずに、それこそ俺が見た夢みたいに急に死んだりしたら、最後に別れの言葉くらいって思ってたかもしれない。でも、今は言われなくて良かったって思ってる。また会いに来るって言葉もちゃんと信じて待っててやる。…お前なら本当になんとかできそうな気がするから不思議だ。


うん。片貝が会いに来るんなら、俺も残りはその時に話そうと思う。それと、お前と友達になれて幸せなのは俺も一緒だ。

ありがとう。


風丸 一郎太より





Re:親愛なる友へ


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