ここ掘れにゃーにゃー?



火薬の臭いがした方へとひたすらに駆ける。木々の間をすり抜け、猛獣の背を飛び越え、暫く走ったところで森を抜けた。

急に拓けたそこには巨大な骨らしき物が横たわり、そして何故かその下にルフィが居た。


「…ルフィ!?なんでそんな所に!?」
「あ!?デッカイ猫が喋ったぁ!!」
「馬鹿!あれはチーターだ!!猛獣だぞ!!つーか喋ったぁ!?」
「よく格好見ろ!ライだよライ!!海軍のジャケット着てんだろ!?」


ああ、本当だ、と言って目を丸くする二人に溜め息を吐く。よくよく見ればウソップも首から下が地面に埋まってるしカルーも傷だらけだし…。


「一体何があったんだよ…。お前らの今の状況が分からん」
「それよりライ!ここから早く出してくれ!!アイツらぶっ飛ばしに行かねえとなんねえんだ!!」
「そうだ!詳しいことは後で話すからよ、まずは俺達をこっから出してくれ!!」
「…ったく、好き勝手言いやがって…」


軽く舌打ちをしてウソップに近付く。ルフィの方はカルーが掘り返し始めていたので、そのまま任せておいて良いだろう。俺は軽く手首を捻ってナミから返してもらった“爪”を出し、それを地面に突き立てた。


「俺はモグラじゃねえってのによ…高くつくかんな!」
「分かった分かった!分かったからそれで俺のこと斬るなよ!?」
「さあ、どうだろうな。そういう加減はやったことねえしな」
「ヒイィィッ!!」


半分冗談、半分本気でそんなことを言いつつも、地面を掘る手は休めない。途中、うっかりウソップの鞄を裂きそうになったが、まあ本人に傷が付かなかったので良しとしよう。俺の爪は元々、掘る為のもんじゃないしな。

そして、やいのやいのと言い合いをしながらウソップを掘り返し終えた頃に、丁度ルフィも巨大の骨の下から飛び出した。二人と一匹はすっくと立ち上がり、アイツら許せねえだのなんだのと口にしている。…アイツらってことは、敵は複数か。それにしても、一体何があったんだか。コイツらに聞いても、話は後だしか言わねえし、今に至っては目がイッちゃってる。

そんなこんなで俺が溜め息を吐いている間に、二人と一匹は何処かへ行ってしまっていた。またすんすんと鼻を鳴らして臭いを辿れば、どうやら“蝋”の臭いの元へ向かっているらしい。物凄い速さで近づいてってる。


仕方ない。詳しい話は全部終わるまで我慢してやろう(そういや他の皆はどこ行った?)



ここ掘れにゃーにゃー?


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