すきすきすきすきすきすき

横にいるだけで溢れてくる感情
想いが形で現れるなら、俺の部屋はきっとハートだらけ。
俺の横ですやすやと眠るマーモンの鼻を、ぎゅっと摘んでやった。
マーモンは少し訝しげな顔をして、眉をひそめて、顔を軽く振って俺の手を振り払おうとする。
なんだかそれが可愛くて小動物みたい。

「うしししし」

鼻から指をパッと離すと、すぐに元の穏やかな表情に戻る。
爆睡みたい。ぜんぜん起きねーもん。
すーすーと穏やかに一定に寝息を立てるマーモンの前髪をかきあげて、額にキスを落とす。
警戒心の強いマーモンが、こんなにも無防備な姿を見せてくれることが嬉しくて細い身体を抱きしめた。
寝ているマーモンを好き放題してると、急にパチっとマーモンが目を開けた。

「うわっ」
「ベル…」

急に目を覚ましたもんだからびっくりして両手をあげた。マーモンは不思議そうに俺を見つめる。

「また、寝てる間に変なことしたでしょ」
「してねーよちょっと触ってただけ」
「セクハラだよ、それ。」

マーモンはベッドから身体を起こして、横にあるチェストの上の水を1杯飲む。
俺は寝転んだまんまマーモンの背中を見つめる。
背中からため息が聞こえた。

「マーモン」
「な、」

マーモンが言い終わる前に背中に腕を回して布団の中に引きずり込んだ。
マーモンは突然のことにびっくりしたみたいで抵抗を見せる。ジタバタと最初は暴れてたけどすぐに落ち着いたようで、また溜め息を吐いてた。

「ベル、そろそろ起きよう」
「やだ」

マーモンの背中とか頭に沢山キスをする。
マーモンは、もう、と文句を垂れている。
素肌と素肌が触れ合う感じは好きだ。
直に温もりを感じられる。
俺の中の空いた穴をマーモンが埋めてくれる。

「ベル」

マーモンは俺の腕から離れて、頭まですっぽり被った布団から抜け出した。
まるで泣いてる子供をあやすように、我儘な子を宥めるように俺にキスした。

「はあ、またマーモンに丸め込まれた」

俺は両手で顔を覆って大袈裟にため息をつく。
マーモンはそんな俺を無視して床に落ちてる服を拾い上げて袖を通す。
俺が駄々を捏ねてると、頭の上に服が降ってきた。
退けるとそれは洗いたての服で、ボーダーの上に黒のスキニーだった。

「早く服着てよね」
「んー着せて」
「…仕方ないなあ。あとで10ユーロね」
「はいはい。あとでケーキ屋な」

マーモンがまたベッドの上に乗って、俺の上に跨る。
なんかちょっと変な気になる。
マーモンはそれを察してか俺の頬を引っ張った。

「いひゃい」

マーモンは無言で俺の顔にボーダー服を被せる。
視界が服で遮られてしまった。
袖に腕を通して、服をすっぽり着ると、マーモンの顔が現れる。
なんかちょっと嬉しくて、マーモンにキスしたらまた頬を引っ張られた。
なんでだろう、マーモンが笑うと心がきゅっと縮まった感じになる。

「おはよう、マーモン」
「…おはよう、ベル。いまさらだね。」

おはよう、って横で君が言ってくれる。
そんな些細なことがなんだかとても幸せ。

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