※学パロ

めちゃくちゃベタな展開。
おれは朝寝坊して、姉ちゃんの作ってくれた朝飯のおにぎりと、弁当を持って、走って家を出る。
あの角を曲がればすぐ学校。
柄にもなく全速力で走る。

ドシーーンッ

角を曲がった途端、暗転。
俺は、地面に尻餅をつく。
何かと思い切りぶつかった。

「いってぇー」
「あ、大丈夫デスカ?急いでたヨ。ごめんなさい」

上から声が降る。
息の荒い、か細い声。
顔をあげると、頭に団子を二つ作った女。
明るいオレンジっけのある髪に、青くぱっちりした瞳が、心配そうに俺を見つめていた。

「だ、大丈夫です…」



あれからのことはあんまり覚えていない。
あのあと確かに俺は遅刻した。

「沖田くん!沖田くん!」

名前を呼ばれてハッと正気に戻る。
目の前には保健医がいた。
いつの間に。

「頭をぶつけたのかもしれないわね。病院、一応行ったほうがいいかもしれない。」

行かなかった。
そのまま昼休みの前には早退した。
自室に入り、鞄を部屋の隅に投げ
ベッドに制服のまま寝転がった。
別に頭に何も異常はないのだ。
朝ぶつかった女の顔が頭から離れない。
青い爛々とした瞳に見つめられたあの時から、あの女が忘れられないんだ。

「名前、聞いときゃよかったでさァ…」

ブーッブーッと携帯が震える音。
カバンで暴れるソレを無視。
しかし、なかなか音は鳴り止まない。

「だーっもう、うるせえや…」

だんだん苛立ち、起き上がって乱暴に鞄の中を漁った。
乱雑に入れられたノートと教科書、あと姉ちゃんが作ってくれた弁当。

「あ、」

ゴソゴソと鞄を探っていると、1つ見覚えのないもの。

「か、ぐら…?」

生徒証だった。
俺のではない、あの女の。
よく見たらわりと近くの高校で、
まさかの2個下の年で
生徒証に写った、真一文字に口を結んだ女は、確かに今日ぶつかった女。

さっきまでの雲がかかったようなもやもやのような、うすぼんやりした俺の心はすっかり晴れた。
これで、また会える。
と思った。
俺の心は今までにないほど高揚していて、次会ったら何て声をかければいいのか、柄にもなく緊張してて。
頬が緩むのを抑えられなかった。


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