おそ松さん最終回を見る前の個人的その後の展開小話程度です。完全捏造です。


チビ太に居候させてもらって早2週間。
就職が決まった。
とりあえず派遣社員で三ヶ月、その後仕事ぶり次第で正社員として雇用してもらえる。
仕事内容は体力仕事で、大きな駅の警備員だ。
1日、朝の9時から次の日の9時まで勤務で、仮眠休憩はあるがとてもきつい。
だが、次の日は休みだ。出勤、休み、出勤、休みを繰り返す。
休みの日はずっと寝ている。1日立ちっぱなし歩きっぱなしの仕事は予想を遥かに超えるしんどさだった。

「あ、クソ松」
「一松とトド松!」

駅の改札を巡回していると聞き慣れた声がした。
マイブラザーたちと会い久しぶりに会うという、慣れない感覚に変に照れてしまう。

「何してんの?」

一松の猫背は健在だった。

「仕事だぜ。ブラザー」
「そういうのいいからカラ松兄さん!」

久しぶりに兄弟に会い事情を聞いた。
一松はとりあえずあの後アテもなく家を出たらしい。
空腹で倒れそうになった時クリスマスの時に出会ったカップルに助けてもらい、その時におごってもらったラーメン屋にそのままバイトさせてもらったらしい。
だが家はないのでトド松のおんぼろアパートに居候させてもらっていて、トド松はトド松でとりあえず一人暮らしで仕事がなかったので一松の紹介という形で同じラーメン屋で働いているらしい。

「つまりウィンウィンな関係」

一松がニヤリと笑いながら両手をV字にして言った。

「トイレの時は毎回起こされるけど」
「もうそれはいいじゃん〜」
「カラ松はどこ住んでんの」

久しぶりに一松に名前を呼ばれ少しビックリしたが、すかさず言葉を返す。

「フッ……チビ太のところに、居候さ…」
「なんっで溜めたの?!ほんといったいよねえ〜」

兄弟の久しぶりの感覚が本当に懐かしい。
寂しい反面、俺たちは本当に離れて良かったのだと思う。じゃないと一生父さんとマミーに迷惑をかけていたのだと思う。

「もうねえ毎日油でドロドロだし、汗と油でめっちゃ体臭いんだよ!ね?一松兄さん」
「ああ。特に俺は厨房だから…」

2人が変わらず一緒に暮らしてるのは少しだけ羨ましかった。俺もチビ太がいて寂しいというわけではないが、チビ太は夜中おでん屋だし、俺は休みの日はずっと寝ているからあまり顔を合わせていない。
兄弟に会うのだって家を出て以来だから。

「さっき丁度今度また兄弟で呑みたいねって話ししてたんだ〜カラ松兄さんもちろん来るよね?」
「行きたいが、仕事が休みの時はずっと寝てるんだ…」
「2連休とかたまにはないの?」

一松もトド松も俺をじっと見つめる。
チョロ松が言う、澄んだ目だ。
その期待を込めた目に目を合わせられない。

「たまには、ある、が、平日だと思う」
「別に構わない…カラ松に合わせる…」
「一松兄さんも寂しいんだよね!みんなと会えなくて!」
「おそ松も来るのか?」

俺の問いに2人は押し黙った。
改札は騒がしいはずなのに、雑音がシャットアウトされたような、変な感覚。

「おそ松兄さんとは、あれ以来会ってないんだよね…」
「俺も…」
「あ、ねえ!カラ松兄さんも僕たちと一緒に住まない?3人の稼ぎがあればもうちょっといいアパートも借りれるだろうしさあ〜いつまでもチビ太のところにいるつもりじゃないんでしょ?」
「まあそうだが…」

すみませ〜ん、と、返事をしようとした時他の女性客に声をかけられた。一松とトド松に断って離れた。
道を尋ねられ丁寧に教えると、笑顔でありがとうと言われ、思わずこちらも笑顔になる。
女性を見送ってから弟たちを見ると、まあ、にやにやと意地悪い笑みを浮かべていた。

「まあ、一緒に住む件考えといてね〜カラ松兄さん」
「じゃあな…俺たち今から買い物だから…」
「ちょっと〜ショッピングって行ってよね〜」

じゃあね〜と手を振って2人は駅の改札を潜っていった。
俺も2人に手を振り見送った。
3人で住む、か。
嬉しい提案にYesと一言返事で答えそうになったが、それに意味があるのだろうか。
また兄弟に甘えてしまいそうだ。
俺も金を貯めてチビ太にお礼を言って一人暮らしするべきだろうかと思った。

おそ松は何をしているのだろうか…
喧嘩別れのようになってしまったことを名残惜しく感じながら、俺は仕事に戻った。

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