10/11 Tue 00:13:36

追記って使ったことないなーってことでバイトの休憩中に書いてて完結し切れず、ゴール地点も見えないやつ載せときます。



暗殺部隊に入隊してからというもの、カルチャーショックばかりに戸惑っている。
フランは、虹の代理戦争が終わってから8年、16歳になってすぐに師匠である六道骸に追い出され、ヴァリアーに強制的に入隊させられた。
しかも、ヴァリアー本部にフランがついた頃には書類上の手続きは全て終わっており、フランの意志など関係なく幹部にされていた。

「ちょっとぉ〜フラン、そこは、もーちょっと左よ!」
「…了解でーす」

フランは今、普段ヴァリアー幹部たちが主に食事をする部屋の飾り付けをしていた。
色紙で作られた輪っかを繋げたものだ。
自分が何故脚立の上に乗ってこんなことをしているのかと疑問しかない。

「フラン、貴様、ボスの生誕祭だというのに何だその態度は」
「ちっ…」

フランは小さく舌打ちしてから再度目の前の飾り付けという仕事にあたる。
同じく幹部で先輩のルッスーリアとレヴィに見守られながら、逃げる方法を探す。

「というか、ベル先輩とマーモンさんにキッチン任せちゃって大丈夫なんですかー?戻った方がいいと思いますけどねー」
「あ!本当、忘れてたわ〜あの子達絶対つまみ食いしてるわよね〜」

ルッスーリアは、フランの言葉にキッチンへと小走りで向かった。
残るはレヴィだけ。
フランはレヴィを何とかここから追い出し逃げる術を探していた。
フランは、だいたい暗殺部隊なのに何故人の誕生日を祝うのか、ということが疑問でならなかった。
人の命を奪う人たちが、人の誕生日を祝おうとしている。
なんともエゴイズムなことだ。
きっと他の同僚たちはそんなこと疑問にも思わず純粋に祝う気持ちがあるのだろう。
朝から少し浮き足立った感じだ。
レヴィとフランは会話もなく2人で黙々と飾り付けを続ける。
風船やクラッカーの準備をして、小学生のお誕生日会と何ら変わりはない。

「完成〜どーよ!フラン見てみ」
「ふう、、重いね…」
「本当!二人ともうまく出来てるじゃな〜い!」

2人の沈黙を破ったのは、先程キッチンへ消えていったルッスーリアと、キッチンでケーキや料理の準備をしていたベルとマーモンだった。
ベルは特大の、それこそウェディングケーキのように何層にも重なったケーキをテーブルに置いた。
マーモンはメインの付け合せであろうサラダ、ルッスーリアはワインとグラスを運んできた。
先輩幹部であるベルは嬉しそうにフランにケーキを自慢してくる。

「マーモンと作ったんだぜこれすごくね?」
「いや、ルッスーリアさんが焼いたのにデコレーションしただけですよねー」
「わかってねーな。ケーキはデコレーションなしじゃただのパンだろ」

何処ぞの女王様のような台詞を吐くベルに、はいはいと適当に返すフラン。
いつものようなやり取りをしていると、突然物凄い音とともにドアが開いた。
バァァァンッ
と壊れんばかりに開かれたドア
現れたのは髪の毛を振り乱したもう1人の幹部だった。

「スク!遅いじゃないの!もう〜!」
「隊長どこ行ってたんですかー隊長のケーキ、もうベル先輩が食べちゃいましたよー」
「適当なこと言うなカエル!」

ルッスーリアが手を合わせ、フランが毒づき、それをベルが頭を殴った。
フランは涙目でまたボソッと毒づく。

「見つけてきたぞお…」

心身共に疲れ果てた様子でスクアーロが持ってきたものは、ドシン、ドシン、と地響きのように部屋を揺らしながら入ってきたソレであった。
モォ〜〜〜
と低い重低音で鳴くそれを見て、皆それぞれに驚きを隠せない。

「これって牛じゃないですかー」
「まじかよ…生きてっし。スク先輩やっぱ馬鹿なんじゃね?」
「これ、いくらで売れるのかな…」
「よくやった!ボスにはやはり本物の牛くらいでなければ張合いがない!」
「ちょっとスク!高級でボスが好きそうなお肉とは言ったけど、どうして生きたまま連れてくるのよ〜これじゃあお料理するのも一苦労だわ〜」

皆それぞれ文句を垂れているのを、スクアーロの一喝で押し黙る。
取り敢えずルッスーリアは牛を城の外に出している。
おそらくルッスーリアは生きた牛をさすがに料理することは出来ないのだろう。そのまま部下に肉の調達を頼んでいた。

「結局、隊長は何の役にも立たなかったんですねー」
「うっせーぞフラン!」
「でもその通りじゃん!しししっ」

料理の並べられたテーブルの椅子に座るスクアーロを囲むようにフランと、ベル、そしてベルのコートを摘みながら後ろ側に立つマーモンがいた。

「てかさーボスって本当に今日誕生日なわけ?」
「何訳わかんねえ事言ってんだぁ」

ベルの突然の疑問に、スクアーロが怒鳴る。
いや、怒鳴ってはいないが、もともと声の大きな彼の言葉は怒鳴っていると取られても仕方ない。

「いやだってさ、10代目にちなんで、XANXUSって10が2個入る名前を付けられたのは分かるけど、そんな偶然に10月10日に産まれる?偽造じゃね?」
「……」
「……」

ベルの正論に皆押し黙った。
たしかに、言われてみれば、だ。








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