アイシーとクララとリオーネ


風邪を引いてしまった。軽い風邪なら薬を飲みながら練習をするのだけど、それが出来ないくらい酷い病状だった。熱を計ったら三十八度近くあって、兄さんに練習に出るなと言われてしまった。だから私は渋々ベッドで寝ている。なんだかサッカーをしない私は私じゃないみたい。サッカーをしない私なんか此処に居る意味が無いみたいで怖いなって思った。だから早く治してまた練習をしたかった。

練習を休んで3日目の昼ご飯は芋の入ったお粥だった。甘くて美味しかった。それで、そのあとの薬を飲もうとしてるときなのだけど、部屋にクララとリオーネがやって来たの。二人とも当たり前だけど練習着だった。リオーネは珍しく仮面を外してた。彼女の素顔は可愛いと思う。
私が不思議に思いながら苦い粉薬を飲むと、クララが体調大丈夫?と訊ねてくれた。私は薬を飲めば何とか、と答えた。すると、リオーネが辛いときに申し訳ないのだけど、と小さな小袋を2つ私に渡した。
「私とクララから。バレンタインのチョコ。昨日二人で作ったのよ」
「え…」
びっくりした。そう言えば今日は14日。でも、此処では皆クリスマスだとか、大きな行事は敢えて無視しているのだ。それなのに二人がチョコレートを作ってたのに驚いてしまった。クララが私の驚いた顔を見て言った。
「今まで練習ばっかりだったから、たまには良いよねってリオーネと話したの。イプシロンにも勝てるようになったし。ダイアモンドダストの皆に配りたいねって」
クララが一呼吸おいた。そしてまた話しはじめた。
「信頼関係を作るのに良さそうだし、それに、私達ダイアモンドダストの皆が好きだから、サッカー以外の繋がりも欲しいなって…」
クララが少しうつ向いて口をつぐんだ。次にリオーネが喋りはじめた。
「本当はアイシーと三人で作りたかったんだけど、風引いちゃったみたいだから。勝手に二人だけで作ってごめん。」
「うんん。構わない」
「ならよかった。私達、友達だから。友達としてのチョコよ」
「二人ともありがとう」
クララもリオーネも、どういたしまして、と言って笑ってくれた。サッカーが無くても私を認めてくれる人がいるのを感じられて、嬉しかった。
「来年は、私も一緒に作らせて」
「勿論!」
二人が強く頷いてくれた。そして、気が付いたら三人で笑顔になってたの。まるで昔に戻ったみたいで、友達って暖かいなって私はその時思った。
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