ヒロトと玲奈


形が悪くて、ココアパウダーはかけすぎで、お世辞にも上手とは言えない。食べてみても味が濃すぎて、歯を磨いてすっきりしたいなと思ってしまった。
「ごめん。あんまり上手じゃなくて。美味しくないなら食べなくていいから」
ルルとか布美子のもあるし、お父さんも買ってきてくれるだろうから。と眉を下げる玲奈ちゃんが珍しくて、それに何というか可愛くて、少しどきどきした。それは初めての感覚だったから僕は戸惑ってしまった。だから内心慌ててしまって、返事をしようとしても言うことが思い付かない。やっとのことで、
「そんなことないよ」
と言うのが精一杯だった。玲奈ちゃんは「ありがとう。優しいね」と微笑むと他の皆にチョコを配りに行ってしまった。なんだか残念な気がしたけど、でもあんまり喋れない彼女と話せた嬉しさの方が大きかった。
確か来月にはこのお礼をする日があったから、その時にきちんとお礼を言おう。そして素敵なものをあげよう。玲奈ちゃんは喜んでくれるかな。まだまだ先のことなのに考えたらまたどきどきした。あんまりどきどきしてるから、これが恋ってやつなのかなって、ちょっと思った。
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