そんなシンパシーならいらないよ!いい迷惑さ!

今までの罪滅ぼしにと緑川にサッカーボールを買った。本当はとても優しい彼に、想像を絶するような破壊をさせたのは自分だから責任がとりたかった。こんな球1つで責任をとるだなんて詐欺みたいな話だが、自分の謝罪の気持ちを形として表したかったのだ。この普通のサッカーボールで今までにできなかった楽しいサッカーをして欲しいと思った。

緑川に謝罪の旨を話してボールを渡したら彼は「受け取れないよ」と言った。「何故だい」「君の責任じゃないから」緑川は困ったような笑顔になった。

「俺の責任だよ。俺のせいで皆の幸せが奪われてしまった。緑川だって嫌だったろう?だから受け取って」
と頼むと緑川は「それは、嫌でなかったと言ったら嘘だよ。でもさ、」と言葉を濁らせた。「どうして」と問えば緑川は難しそうな顔をして少しうつ向いた。
「……だってそれは君のエゴじゃないか。…ズルいよ。確かに謝りたい気持ちは分かるよ。でも、そんなの形だけじゃないか。同情で謝られたって困るんだ。だ、だって、何度もいう、けど君に責任は、責任は…ないん、だ」
緑川は言っている途中から嗚咽を漏らしはじめて、喋り終わった時には泣いていた。ヒロトは泣き始めてしまった緑川にオロオロするしかなかった。
「基山さんの、ばか」
あんまりにヒロトがオロオロするものだから、緑川はつい、今まで思ってたことを口にした。ヒロトは力なく笑うしかなかった。
「ごめん。俺はどうすればいい?わからないんだ」
緑川に自分まで泣きそうになりながら訊ねた。どうすれば彼は泣き止むのだろうか。手に持っているサッカーボールを下に落としてヒロトは緑川に一歩歩み寄った。
「俺を、人間として好きになってください」
「…それでいいの」
「はい」
そうして緑川はヒロトに優しく微笑んだ。細められた赤く腫れた目が切なかった。どうしようもなくなって、ヒロトは緑川の優しさに静かに涕涙した。
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