『ザザ、ザ、…此方吹雪。此方吹雪。…ザ、風丸君聞こえますかー?ガー…ザ、ザ』

『ザ、ガー此方風丸。聞こえてます。しっかり聞こえます。ガー…、っていうかトランシーバー使う意味ないだろ!ザザ、目の前にいるのにさあ!ザザザ…』

吹雪が何処からか見付けた黒いトランシーバー。薄汚れて、電池も入ってなかったのだけど、せっかく見付けたから、ということで電池を入れて少し遊んでみることにした。電源を入れるとピーッという大きな音がして二人して驚いた。そして手に持って動かすごとにザザザという音がするから少しやかましいなと思った。
「なんか、普段はしないようなお喋りをしようよ」
吹雪がそういうと風丸は良いけど面と向かったまま話すのか?と質問した。吹雪はじゃあ背中合わせで座ろうと提案した。あまり意味は無いように感じられたが風丸はそれに従った。

『ザザザ…此方吹雪。ザザ風丸君聞こえますか?ザザッ…ガー』

『ガ…ピー、はい。ザザザ聞こえてます。ザ、ザザ…』

『ザザ、ガガガー…、風丸君。ガー…ザザザ』

『ザザ、なに?ザザザ…』

『ガ、ザ、ザザ…好きです。ザザザ、ガガ、ピー』

「はああ!?」

風丸は顔を赤らめて飛び上がり後ろを向いた。そしたら吹雪はまた

『ザザ、風丸君が好きですガ、ザ…』

とトランシーバーに向かって涼しい顔で言ったのだった。風丸は吹雪の肉声と、トランシーバーからの声と、2つの音で告白されて脳の痺れるような感覚を覚えた。顔が火照る。もう一度背中合わせに座りなおすと

『ザザ、あーと、ザ…、俺も好きです。ザザザ』

と吹雪に電波を発信したのだった。
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