・吹雪君と風丸君



「空飛びたい!」
「なんで」
「気持ち良さそうだから」

と言って吹雪は手を後ろで繋いで、青い空を見上げた。満面の笑みで、とても嬉しそうに。何でだろう。冬だからかな。だって、吹雪、だし。
風がごうごうと吹いてる。彼のすみれ色の髪が風に吹かれてあちこちに揺れる。彼の服が風に吹かれてばさばさという。冬の空気は俺らの間を通り抜ける。

「僕が空を飛んだらね、風丸君は僕を後ろから押してね」
「押す?」
「うん。押して、僕を加速させて」
「何で俺が?」
「風丸、だから」

吹雪は目を細めて、ね。いいでしょう?と言った。
俺はなんだかむずがゆくなって、そうだな。とだけ返した。ひゅーん。耳の横を風が横切っていった。
と思ったら、びゅうおおおお。風が吹雪のすみれ色の髪と、俺の長い水色の髪をさらっていく。
「凄いねえ」
吹雪が髪を押さえながら言った。俺は青い空を見上げながら言った。
「凄いなあ」
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