「佐久間君にはプライドってものはないのかい?」

売り言葉というのはこのことだったのだ。自信に満ちた赤い眼が俺を見下ろして言う。俺は反射的に、は?んな訳ねーよ!と噛み付くように返答した。それが間違いだった。アフロディは満足そうに笑うと、二言はないね?と念を押した。俺は不機嫌な声で、ああと答えた。この時に自分がもっと冷静だったなら。この時点で俺は彼の
思惑に勘づくべきだったんだ。

なんちゃって制服というのをご存じだろうか。私服校で主に女子が着てくる学校の制服に見せかけたコーディネートだ。俺はそれは別に可愛いと思うしいいと思うんだ。女子が着ている分には。
「な・ん・で俺がスカートをはかなきゃいけねえんだああ!!」
「だから初代男の娘としてのプライドで」
「意味わかんねーよ!!」
「えー」
アフロディが言うには、最近は二期、三期から現れた吹雪や緑川が人気を集めている。そして初代男の娘では風丸の人気がぶっちぎり。このままでは俺ら二人は忘れ去られてしまう。それを防ぐために二人で女装しよう、と言うことらしい。馬鹿じゃなかろうか。
俺は溜め息を吐くと押し付けられた灰色のプリーツスカートと白いワイシャツを見つめた。
「こんなことしたって無意味だと思うがな」
「でもやらないよりマシだろう?」
既に着替えて何処からみても女子にしか見えないアフロディが何時もの笑みを見せながら言った。こいつは何をしても余裕の表情だ。その笑顔で俺を脅す。仕方無い。こいつの言う通りに動くのは癪だが、彼の笑みで無言の催促をされ続けるのも癪だ。俺は観念して白いワイシャツのボタンに手をかけた。
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