理由は分からないけどヒロト君が綺麗に泣いていた。
きりりとした目から涙をつうと流して、口をまっすぐ閉じて。それが気になったから僕は隣に座って彼にどうしたのと訊ねた。ヒロト君は何でもないよと言った。でも泣いてるよと僕が言うと、彼もでも何でもないんだと言った。
僕に出来ることあるかいと訊ねたらまた、ううん。何もないよと言うから僕はぼんやり前を向いているしかなくなってしまった。
水槽の中のように空気が流れた。
僕はまた何か出来ることないかいと訊ねたけどヒロト君はかぶりを振るだけだった。だから僕はせめて一緒に泣こうと思った。まるで愛し合ってるみたいに泣いたらヒロト君は此方を向いてくれる気がした。
しかし此処は空気の水槽の中だから涙を流してもそれは空気に溶けてしまった。僕は恋人の様にも泣けない。
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