風丸君が入院している僕を見舞いに来てくれた。それは僕にとって嬉しい反面、妙でもあった。
何故君は此処にいる?円堂守達と共に戦わなくていいのか?いや、そもそも僕が助太刀に入ったときからそうだ。君は何処までも風を探してゆくのではなかったのか?
「アフロディ」
風丸君が丸椅子に腰掛けて言った。ジーンズにパーカーというラフな姿の彼は普通の中学生だった。
「俺、これから世宇子のお前が正しかったって、証明するから」
「え?」
「俺は強くなる」
と言って、彼は髪をほどいた。ゴムをベッドにいる僕に投げて寄越して、首を一度だけ振って下ろした髪を払った。そしてパーカーのポケットに手を入れると、紫の宝石のペンダントを取り出した。
「これで強くなるから」
風丸君は『それ』で強くなる。僕はどうすれば良いか分からず、風丸君をじっと見つめていた。君は僕と同じ過ちを繰り返すのか。風丸君はすまなそうに微笑んだ。
!バチリ!
僕の中の何かが崩れた。
風丸君の座標点。イナズマキャラバンの進行方向。僕のパスト。わからない。髪の毛がさらり。甘い香り。発するのは紫の石。宇宙の色。赤と青の宇宙人たち。勝てない。僕は神様だったのに。長い髪の毛。朱色の眼。色々なものが混ざってぐつぐつとした茶色になる。あはははははは!どぷん!
「なあアフロディ」
「何」
呟くと風丸は笑って
「そのゴム貰ってくれよ」
と言った。僕は「ありがとう。大事にするね」と言った。風丸君は「サンキュ」と言うと立ち上がり病室を後にした。一人残された僕には白いこの部屋は寂しかった。
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