パチリといって爪が分断された。歪んだ月のような形をしている元・俺の体の一部達は下に敷いた新聞紙の上にある。風丸が「終わったぞ」と言った。爪切りは終了したらしい。丁寧に切り揃えられた俺の両手の指先。「ありがとう風丸」と言うと風丸は「どういたしまして」と言う代わりに俺の左手をとって、その甲に唇を落とした。「どういたしまして御嬢様」それをとても格好良く言うものだから悔しくて「風丸だって可愛い顔してるくせに」と言えば「緑川には負けるよ」だってさ。なんだそれヒドイ。それで「風丸の方が可愛いよ!」って言ったら「そんなこと絶対ない!」って即答されて「いや絶対風丸だって!」って言ったら「緑川だから!」って返されて、結局それで言い合ってたらヒロトと吹雪がやって来て「二人とも同じくらい可愛いから問題ないよ!」と口を揃えて言うものだから、二人とも「ぶー」と口を尖らせたら「そーゆーところが二人とも可愛いんだよ」と言われた。なんだそれヒドイ。
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