じいっ。

ヒロト君が僕を見つめてる。ベッドに座って。
だから僕はちょっと落ち着かない。床に座ってさっきから読んでる本はページが進まない。

「ヒロト君」

「なに」

「僕を見て楽しい?」

「うん」

「……」

困った。かえす言葉が見当たらない。
僕は仕方ないのでまた文庫本を読み始める。
…だめだ。やっぱり頭に入ってこないよ。

「ヒロト君」

「なに?」

「見つめるの止めてくれないかな…?集中出来なくて」

「やだよ」

即答された!なんだよ酷いよヒロト君!

「その文庫さ。風丸君のでしょ」

「うん。借りたんだ」

「だからイヤ」

「……」

僕は立ち上がってヒロト君の横に座ると、ヒロト君に抱きついた。そのまま彼を押し倒すと、僕はヒロト君の上に寝そべって、風丸君から借りた文庫本を音読しはじめた。これならいいでしょ?と悪戯っぽく聞くと、ヒロト君は仕方ないなあと呟いて音読に耳をすましてくれた。
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