亜風炉照美君は1日に2リットル位の水を飲むのだそうだ。それがその美貌の秘密なの?と聞いたら、そうかもしれないね。と彼の美しい口がつむいだ。
「ジュースとか、スポーツドリンクとか、飲まないの?」
「スポーツドリンクなら飲むよ。でも、普段の生活では水しか飲まない。」
「何故だい?甘いの駄目なの?」
俺がたずねたら亜風炉照美君はふふふと笑って、違うよ。もっと単純な理由だ。と言った。
「僕の家は貧乏でね。お金がないんだよ」
俺は一瞬で何も言えなくなった。亜風炉照美君は何に対してなのか分からないけど、楽しそうに話し続けた。
「他の皆は美味しそうなジュースを買ってもらえるのだけれど、僕はそうではないからね。水を飲んでは自分を誤魔化していたわけなんだ」
俺には両親はいないけど父さんがいた。照美君はそれの逆だったのだろうか。
「僕のこの美貌は、僕の親や、他の子への復讐心の現れなのかもしれない」
照美君は口を閉じて、何時もの俺に似た余裕のある表情をしていて、そしてまた口を開いた。
「やあ、基山ヒロト君。どうして君が泣くんだい」
色々な感情が押し寄せて来て、仕方がなくなってしまったから照美君を抱き締めた。泣きながら。均整のとれた体はやはり悲しいくらい美しかった。
俺はしかし自分が亜風炉照美を好きになったのは彼のこの美貌の為なのが憎たらしくて、いっそ二人で舌を噛んで死んでしまいたいと思った。
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