唇を重ねると電撃が走った。
驚いて、僕に覆い被さるように四つん這いになっている風丸君を見ると、彼は可愛らしく笑った。
そんなにびっくりしたのか?
それはそうだよ。いつもはあんなに照れて嫌そうにするのに。
風丸君は笑って答えた。
まあ、いいだろたまには。
僕は狼狽する。
まあ、いいけど…やっぱりびっくりするよ。
風丸君は、今度は口角をあげて微笑むと(やっぱり可愛らしい)、また僕の唇に彼のを重ねた。パチリ。また電撃が僕の体を走った。
風丸君はすぐに顔を少し離すと、じっと僕を見つめた。深い紅の彼の目。薄く赤い唇。頬。柔らかい。髪の毛がなまめかしく揺れる。吐息が漏れる。肌に感じる空気の波が気持ちいい。これはきっとある種のシンナーだ。僕だけの麻薬。僕の脳に電撃が走る。パチリ。うん。風丸君。キスしようか。
口のなかに舌を入れると彼も舌を絡めてきた。少し弾性のある。ざらついた表面。彼の口内。それを味わうと白い歯に舌を這わした。ダイアモンドの硬度を誇る。ピンクの肉の上の白い塊。彼の歯の表面を僕の舌が滑る。
一旦彼の口から舌を出すと唾液がだらりとそれから垂れた。それを気にも留めずに僕らは互いを見つめ続けながら息を整えた。どちらも頬が薄紅に染まっている。体が熱っぽく疼く。
風丸君の濡れた唇の前に僕は人差し指を出した。彼は顔をうつ向かせ、睫毛を下に向けて顔に影を作ると、それを舐めはじめた。チロチロと赤い舌が見え隠れする。熱っぽい舌の刺激。僕を丁寧に舐めていく。彼の恍惚とした表情。たまにする甘噛。気持ちいい。やっぱり風丸君は僕の麻薬だ。
口から指を抜くと、また唇を重ねた。舌と舌が触れる。ふあ。声が漏れる。口の間から唾液が滴る。唇が濡れる。吐き出される息が熱い。そしてそれは気泡となって昇る。空気が揺れる。僕らはそれの中で身をひらめかせる魚だ。赤と青のアイラインをした熱帯魚。身をくねらし暖かい水槽の中を泳ぐ。
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