途中まで書いた竹谷。








(♂夢/忍卵/竹谷八左ヱ門/途中で書くの飽きた)



僕の部屋に、妖精なのか小人なのか、目に見えないものが来て助けてくれたことが幾度となくある。

毒虫が逃げて捜索と捕獲に走り回って夕飯を逃してしまったとき、部屋におにぎりが二つ用意されていた。
同室の奴かとお礼を述べれば、彼は「俺じゃないよ」という。
もちろん、おかしいなと僕は不思議に思った。が、当時三年生でまだそれほど警戒心が強くなかった僕は、学園内だったしひどく空腹だったので、毒の可能性を却下してそのおにぎりを頂いた。美味しかった。

それとは別に、虫の脱走と生物小屋の破壊が重なったとき、用具委員会の協力を得たにもかかわらず連日徹夜で疲労困憊したとき。
部屋に帰ると机に薬湯が置いてあった。もちろん僕は用意してないし、同室者も「俺じゃないよ」という。この時は少し飲むのを躊躇ったけど、同室者が「薬臭いから早く呑め」と言ったので頂いた。不味かったけど、おかげでゆっくり眠れた。
五年生になると生物委員会委員長代理になって精神的苦労が増えた。疲れて帰ると時々机に小坪があった。中は飴だった。例のごとく「俺じゃないよ」という同室者。俺はもう、三年生からの差し入れに刷り込みされていたので何の疑問もなく飴を頂いた。幸せな気持ちになった。
その他にも、俺の疲れを労るような差し入れは幾度となくあり、僕はそれを喜んで頂戴している。

事のあらましはこうだ。

確かに今思い返すと僕はすごく無謀だったし、その差し入れにひとつでも毒が入っていたら僕は確実に死んでいただろう。
だけどそれらは結果的に僕を労ってくれていたものだし、今更それに対して悪く思うことなんて僕には必要ないことだと思った。むしろ失礼に値するんじゃないかとすら思う。

でも、みんなはそうじゃないみたいだ。

「差出人不明の差し入れを口に入れるなんて信じられん!しかも五年生になったにも関わらず猜疑心を抱かないなんて、お前の今の命は奇跡だぞ!」
「いやだから、もうここまで来ると妖精とか小人とかの仕業じゃないかとな?それの存在を否定するなんて可哀相じゃないか、三郎?」
「八がそんな可愛いことを言っても可愛くない」
「兵助もうちょっと歯に衣着せてくれ」





ってとこまで書いた。
以下設定と真相。

数々の差し入れは竹谷の同室の友人の、は組の主人公。
竹谷が好きうんぬんじゃなくて、竹谷の同室の友人から生物委員もとい竹谷の苦労話を聞き「苦労してるんだな…報われますように。頑張れ竹谷!」という親切心の応援。
竹谷は竹谷で「誰の厚意か知らんが受け取るぜありがとう!」とさほど疑問に思うことなくパクパクもぐもぐ。ちょっとずつ気になって始まる竹谷少年の初々しい恋物語(無自覚)

「いろいろ差し入れくれたのお前だったんだってな」
「うん、そうなんだ。あいつに大変そうなの聞いてさ」
「そっか、すげー助かってた!ありがとな」
「頑張れよー。俺保健委員だから、なにかあったら言ってくれ」


「そういや面識ないのになんでそこまで世話焼いてくれたんだ?」
「え?うーん…大変そうだなって思って!俺だったら夕飯なしはキツいなーとか」

なんだこいつ超いい奴!!
すれ違いざま挨拶したり、会話は少ないが胸いっぱいになる竹谷。

「お前あいつのこと好きだろ」
「あたりまえだろ三郎!あいつはいい奴だ!」
「そうじゃなくて…」

周りは竹谷が恋してるのに気付いてる。
本人だけ気付いてない。