恋人虚実。






(♀夢/英雄学/爆豪勝己/notヒーロー志望/プロヒーロー後/主は小説家になってる/モデル(アスレイ)のセルフパロ)



◎が作家デビューした後の話。
勝己はプロヒーローとしてデビューして、抱かれたい男とかに名前が上がってる。



恋愛小説の挿絵に写真を使うって企画から。

小説を書いたのは◎の作家仲間の女で、「主人公の女のイメージは●さん」ってところから◎をモデルに写真を撮ってそれを挿絵にしようって企画に上る。

相手役の男をどうするかってところで、◎は元から顔を出す仕事じゃないし、せっかく顏出しの企画するなら男の方は話題性・外見重視で売ろうと候補があがる。→勝己、轟。

◎は完全に守備範囲外の仕事なので断りたかったが、作者が企画の話を聞いてどうしても写真を見たいと言い出したので断り切れず、できれば知ってる人且つ信頼できる人が相手役ならという条件の元受けることに。

作者は◎は雄英出身であることを知っているので、勝己にオファーが行く。

(はじめ轟の方がイメージ近いからってそっちで進む話が濃厚だったんだけど、轟は勝己と◎が仲が良いってこと知ってるから、◎は勝己相手の方がやりやすいんじゃないかって思って「爆心地の方がよくねえか?」って勝己を推薦した)

勝己はヒーローランキング的な、ヒーローとして認められてる記事の場合は受けてる。けど今回は全く関係ない企画小説の副業なので見た瞬間にキレる。
事務所の事務員さん的な人からオファーの話を聞いた。

「俺はヒーローだっつってんだろうが!!クソ雑誌のモデルなんざ誰がやるか!断れ!!」

「わかってますわかってます!で、でも、相手が…」

女役が◎だと確定してることを知る。

(…なんッで受けとんだこいつ…!!)

なんやかんや、相手の女性は作家さんでこういう顔出しの仕事不慣れなので爆心地さんフォローしてくれれば〜とか色々言われて結局受ける。他の男にされるくらいならやるって気持ち。
勝己自身のイメージアップに繋がるとか色々言われるけど、自分に過剰なファンがいることは承知しているので、そこには否定的。
そういうファンを刺激しないように、あんまり過激な表現がない写真を撮れって条件で受ける。


撮影日。勝己が先にスタジオ入り。クッソイライラして「話しかけんな。もう一人来たら教えろ」とか言うから、スタッフとかは「え?爆心地マジでこの仕事受けてたんだ…?っていうか超イライラしてるけど、ならなんで断らなかったの?相手がこんな怖い人で●さん大丈夫?おっとりしててこういう撮影も初めてなのに時間掛かって爆心地余計にイライラしたら怒鳴ったりしない?泣いちゃうんじゃないの…?」みたいな心配されて現場はすごいハラハラしてる。

しばらく後に◎が来て、スタッフが恐る恐る勝己に◎がスタジオ入りしたことを知らせると、ドガドガ控え室に歩いて行く。ちょうど部屋に案内されて入るところで、「おいてめぇコラ!!どういうつもりでこの仕事受けたのか言えや!!」って怒鳴って、立ち止まった◎が勝己を見てあっさり「断りきれなくて。最初は断ったのよ」と一言返す。

「でも、受けてくれてよかった。知らない人だったら撮影終わる気がしなかったわ」

その後、おはようと微笑む。
ぐぎぎとそれ以上反論しない勝己。
※◎が連載の執筆中と知っていたため当日まで詮索の連絡しなかった。

え、なんだ知り合いだったんだ。みたいな感じでハラハラした雰囲気は解消する。

撮影中のシーンも入れたい。
勝己が完璧に演技するから◎も釣られていい感じに撮影進む。でもカメラが向かなくなるとちょっと恥ずかしかったりおかしくなったりして笑っちゃう。

「何笑っとんだ」

「だって、ふふ」

「てめぇ撮られっ時に素出しやがったらどつくぞ」

「大丈夫、わかってる。でも、やっぱり勝己ってすごいのね」

「当然だろが」

すごい親しげに話すから、なんだ仲良いじゃんって感じで現場ほっこり。なんか爆心地雰囲気いつもより柔らかいよね。恋愛小説の挿絵だから気ィ遣ってんのかな?人気商売だしそういうところはやっぱちゃんと意識してるのかな、とかひっそり思われてる。




写真があまりにも美しく撮れている&過激な表現もない&ヒーローじゃない素っぽい爆心地が見れる的な感じでファンからも好評で雑誌がすごい売れた。

そんであまりにも売れてて挿絵写真付きの続編希望の声が多く上がっているので、小説の続編が出来るたびに挿絵撮影の仕事をする。少しセクシャルなシーンも求められたけどやったし、読者の方も段階踏んで表現されてきたのでむしろ「これが見たかった」みたいな感じで絆されてる。

そんで小説も挿絵写真も終わったんだけど、終わっても人気冷めやらずで、特典ドラマを作って小説の初版限定でDVD付録をつけるという企画まであがる。

※なんだかんだでやる。

あんまりベタベタした表現はなく、結構二人のいつも通りの感じの話なので演技はほとんど問題ない。でもいつも通りすぎて役名が出てこなくて、そのせいでリテイクが多い。


『ねえ、勝己』

「カット」

「あ」

「てっめえ余計な時間取らすんじゃねえよカス…!」

「ごめん」




『おい◎』

「カット」

「…」

「ふふ」

「笑ってんなクソが!!」



ドラマ撮影が終わった後に、意見感想を取材される。この作品以外の撮影企画が出たらまたやりますかというインタビューに、◎は「自分がモデルになったお話でももうこれっきりにします」と答え、勝己は「やるわけねえだろ。ヒーローは暇じゃねえんだよ」と答える。
監督からのコメントでも、現場の雰囲気について思ったより和やかだったこととか「役そのままのお二人でした」とか載る。

それが雑誌に載り、「暇じゃないのにやったんだ爆心地」って爆心地ファン、小説と写真を見て◎のファンになった人らにめちゃくちゃ惜しまれながらもそれ以降の続編はない。作中の二人に幸せを見た崇拝者が末永く永久不滅の愛をネットで語り、雑誌やDVDにはプレミアがついた。

「自分が書いた本より売れててなんだか複雑」

「ウゼェファンが増えたわ」

「そう?どんな?」

「あのクソ小説なぞれってクソどもだよ」

「私のせいなの?作者じゃないのに」

「話の発端の女はお前で、俺と囃し立てられてんのもおめーだろうが」

「私の意図じゃないわ」

「世間は当事者の意図なんざお構いなしなんだよ。わーったらツラ出しの仕事は二度と受けんなカス」

「言われなくても」

ぱらぱらと雑誌をめくる。

「ああ、このシーン好きだった。ドラマではカットされたけど」

「あ?」

写真を見せる。

「こんなん挟んだら流れ悪くなるわ」

「写真と映像だとそういうところの勝手が違うわよね」

写真を指して◎が言う。

「これ、もう一回やらない?」

勝己は鼻で笑いながらも撮影時の触れ合いの再現した。

「バカかよ」

「ふふ」

戯れるような触れ合いに◎は笑って、小説にはない自分の言葉で言った。

「好きよ、勝己」

勝己は答えず、◎にキスをした。