メタな話。―消失―
(♀夢/英雄学/爆豪勝己)
(※メタな話※)
◎を作った奴が模造品の俺を受け入れ始めた。オリジナルの俺を崩さねえように◎は作られたのに、もう、◎は絶対に必要な存在じゃなくなった。
「てめぇはもう用無しってこった」
「そう。これからはもう私はいない存在なのね」
「ああ」
「元気でね」
次の瞬間、今までが嘘だったみてぇに◎が忽然と消えた。
これが普通だ。俺んちに子供は俺一人で、隣に住んでるのはガキのいねえ夫婦。アルバム見返しても女の幼馴染なんていねぇ。隣のクラスにも●◎なんてやつは存在しねぇ。なのに、なんで俺は覚えてんだよ。
「おいデク。お前◎のこと覚えてんだろ」
「えっ、◎って?」
誰も覚えてねえ。
「クソが。死ね」
(理不尽…)
なんかが足りねえ気になるのに、◎の声も顔も記憶が霞んでいく。存在を証明するもんは何もねえ。だけど一緒にいた時、居心地よく感じてたことは間違いなかった。
消える直前、諦めたような、悲しそうな、そんなツラしてた気がした。
(んな顔すんなら消えなくてよかっただろうが)
あいつが消えたのはあいつの意思じゃねえのに、未練がましくそう思った。ンなこと考えてんのは情けなくて、弱くて、◎のことは誰にも言わねえことにした。どうせ誰も覚えてねえ。
きっと俺も、薄情んなってそのうち忘れんだ。