主観.4
(BL/種が運ぶ命/アスラン×レイ/前サイトから転載)
ザフトを脱走する時、レイのことが一番気掛かりだった。
だけどレイのところに行く余裕もなく、俺はメイリン・ホークの力を借りて逃げた。レイが追ってきてくれればいい、と何処かで思っていた。だから俺たちが格納庫にいることに、君だけが気付いて、君だけが追ってきてくれたことが、実はとても嬉しかったんだ。
でも、願いが叶ったと思った途端、俺は絶望した。
君は俺に銃口を向けて、躊躇なく撃って、俺を罵倒した。
「やっぱり逃げるんですか!また!」
一瞬視界が真っ暗になった。
やっぱりって、なんだ?
レイは最初から俺を信用していなかったのか?
いつか俺がザフトから離れると、想定していたのか?
…好意を抱いていたのは、俺だけだったのか?
尚も連射される銃弾に、メイリンが悲鳴を上げた。
それに意識を取り戻して、俺は銃弾から逃げて、レイが傷付かないようにと、彼の手にある銃を射った。
…俺が動きを止めて、レイが俺を確実に仕留められる一瞬、銃弾が止んだような気がした。
それでも、レイが議長を心から信頼していることは、誰の目から見ても明らかだ。俺を拘束することが議長からの任務なら、この瞬間を逃したら、確実に捕まる。せめて道連れにしてしまったメイリンにこれ以上被害が被らないように、俺は彼女に手を差し出した。
再び銃を取ったレイから、俺は逃げた。
コクピットを閉めて、グフを機動させる手とは裏腹に、俺はこんなことを考えていた。
最後に、彼に撃たれて絶対に消えない傷を作ってしまえばよかったと思った俺は、愚かだろうか。メイリンがいなければ、俺はレイに殺されていたかもしれない。
俺は。
俺はレイの手で殺されたかった。