主観.3









(BL/種が運ぶ命/アスラン×レイ/前サイトから転載)



狂ってしまいそうだった。

ラウがいなくなって、ギルは俺をラウと呼んで。
何故だろう。それからもうギルを常に家族のようだと思えなくなってしまったんだ。だけど、俺にとってギルは大切な人に変わりなくて。
そんな大切な人と俺の視線が少しずつずれていって、いつのまにか一人になるのが恐かった。だからせめて、もう大切な人は作らないと決めたんだ。

だけど、あの人は容易に俺のその決意を揺らがせて、いつのまにか失いたくないと思わせていた。

でも、共にいたい、守りたいと思った時には彼の視線はどんどん俺の視線とずれていって、いつのまにか、敵になっていた。

ギルの敵は撃たなければならない。そこに俺の意志は必要無い。
だから、アスランが墜ちても、それは悲しんではいけない。

敵なんだ。
敵、敵、敵。
悲しむ必要がどこにある。
裏切ったんだ。ザフトを。メイリンと共に。

そう、裏切ったんだ。

ならば、罰を与えなくてはならないんだ。
断罪に、感情は必要無い。
だから、俺はいつものように、人形のように、振る舞うんだ。

軋む胸なんて、知らない。

流れる涙の理由なんか、知らない。

あの人を思い出して感じる孤独感なんて、知らない。

喪失感なんて、知らない。

愛情なんて…、知らない。

俺は人形。
守りたいものすら守り通せない、失敗作。

いつものように振る舞って、誰にも悟られなければ、それでいい。



悟られなければ、悲しんでいることにはならない。