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「あー、30点。
間違ってはないが、正解でもない。」
ドクン。
心臓の跳ねる音が響く。
きっと私は、体全体が心臓と一体化したんだろう。
そんな私を見て、私のものではない口元はするりと笑みを深めた。
「はい、ここでヒントタイムのお時間です。
ヒントその1、理由の一つは、殺してる所を誰かに見られると後々が面倒だから。」
まるで三日月を描くようにつり上がった口の端。
その笑いにすら、恐怖を抱かざるを得なかった。
「ヒントその2、人を殺すってのは案外面倒。」
「それは………殺される側は、勿論抵抗するだろうし………。」
「それもあるんだけどな、もっと別の意味で面倒なんだよ。
………ヒントその3、日本ってのは不審な死体が見つかるだけでも大騒ぎする国だ。」
ドクン。
また跳ねる心臓。
私はその内過呼吸で倒れてしまうんじゃないかと思うぐらい、肩を使って息をしていた。
胸が、痛い。
「そろそろ分かってもいいんじゃないか?
本当は、もう分かってたりしてな」
ドクン。ドクン。ドクン。
耳の中を、音が反響する。
ゴクリと唾を飲み込むと、乾いた喉は吐き気を覚えた。
嫌だ………泣きそうっ………!!
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