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「………っはぁ、はぁ、はっ………。
一体何なの、アイツ!?」
道路を走り、住宅街の隙間を抜け、周りを疑いながらもただひたすらに逃げる。
あまりにキツくて、時折建物の陰で壁にもたれかかって休んだ。
そういう時、必ずどこかから聞こえるあの人の声。
「だから逃げても無駄だって言ってんだろ、お嬢さん!」
「ひっ………!?」
ほら、また!
右から声がして、私は左に走り出す。
「いい加減手間を掛けさせてくれるなよ。
俺だって暇じゃないんだぜ?」
「だ、誰が『はい、そーですか』って殺されるんですかっ!?」
「アンタが殺されてくれればすぐ終わるんだよ」
「あなたが諦めてくれればすぐ終わるんですよっ!!」
こんな押し問答をしつつ、必死に逃げる。
相手が真っ黒い服を着ているから、その姿は全く見えない。
今は、逃げるしかない。
そう思った私は、走る。
走る。走る。走る。
―――警察に行けば、何とか………!!
ふと、気付いた。
「………あ、れ………?」
おかしいな………。
なんだか、警察や交番に近付けない。
それどころか、段々人気の無い場所に追いやられてる気がする………。
「………まさかっ!?」
「あーあ、気付いちまったか。
今更遅いけどな。」
後ろの方から声がする。
その事に驚きながらも、必死に前へと走る。
頭の中はメチャクチャだ。
いや、メチャクチャなのは私を殺すとか言ってるあの人の方だ!
細い道を走り抜けた先、そこには―――………
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