■鮮烈ですらあった眩しさもそのすべて形づくる無二の名も

19yearsold Johnny・Joestar

ディエゴ・ブランドーはぼくの家でホットウォーカーのバイトをしていた。
そのため、お互いに面識はなかったけれど幼い頃からぼくらは顔見知りだった。

兄さんが落馬して死んでしまったあの日、ぼくは心のどこかでアイツが何かしたんじゃないかと思った。
いずれライバルとなるであろうニコラス・ジョースターを殺してその座を奪おうとしたんじゃあないか、もやもやとした疑惑が晴れることはなかったけれど決定的な証拠もなくて、結局ぼくは何も出来ぬまま立ち尽くした。

兄さんが死んでからぼくは兄さんのかわりになろうと馬に乗るようになった。
けれど、Dioが出場するレースでは一度だって優勝することは出来なかった。
Dioとレースをするとき、どうあがいたって追い抜けない奴をぼくは後ろからずっと見ていたんだ。
その背中は何故だかとても懐かしいような気がして、奴を追っているとき必ずと言っていいほど生まれたときからずっとある左肩の星の痣が痛んだ。その時のぼくにとってアイツは眩しすぎて名を聞くのも嫌だった。
父さんは毎回Dioとぼくを比べて、死んだ兄さんのことをいつまでも忘れてくれなかった。
いつか「お前が死ねばよかった」と言われるんじゃないかと、毎日怯えていた。
ぼくの周りはプレッシャーだらけでそのうち優勝出来るレースにしか出なくなった。


「お前は運命を信じるか?」

いつかのレース終了後突然Dioにそう言われた。
早くどこかに行ってくれ、と思いながらも別にどちらでもない、と答えると奴はククッと喉で笑った。
俺は信じている、と愛馬のシルバー・バレットを撫でながらDioは言う。
変な奴、と思いながらも見つめた瞳にくらりと眩暈がした。
Dioが近づいてくる。
そして耳元で囁いた。

「…どうやら俺とお前は必ず出会う運命にあるようだな」

ジョナサン・ジョースター

次のレースで会おう、と言い残して奴は記者達のもとへと行った。
ぼくはDioに教えたことのないはずの本名を呼ばれてまたあの懐かしい感覚に襲われた。

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