人の話を聞け!
2012/01/29 01:31

□ディエジョニ(現パロ)

窓の外を覗くと僅かに雪が積もっていて、急いで身支度をした。
多分、きっと隣の家のあいつは地面が凍っていて危ないからとか何とか言っていつもより早めに迎えに来るんだろう。
誰だって朝から嫌いなやつの顔は見たくない。
牛乳を一口飲んで、パンをくわえてそのまま家を出た。

教室へ着くと部屋がほんのり暖かく、珍しくストーブがついていたので冷えて赤くなった手先を暖めた。

「うー寒い…寒すぎる…」

「ようジョニィ、今日も早いな」

ジャイロが鼻歌混じりに近づいてくる。
おはよう、と不機嫌な顔で言ってやると、ジャイロはニョホホと笑いながら、朝くらい一緒に来てやれば?と言った。

「冗談、朝からあいつの顔みたくないもん」

大体今日なんて一緒に来たら、滑ったら危ないから手を繋ごうとか言ってくるに決まってるよ、と続けるとジャイロはまた笑った。
笑い事じゃあないんだってば、と怒ると後ろから声がかけられる。

「ごきげんよう、二人とも」

朝から元気だな、と言いながらホット・パンツは咳をした。

「おはよう、風邪ひいたの?」

「ん…まあな。熱はそんなに無いんだが、咳が止まらないんだ」

「無理すんなよ〜今流行ってるみてえだしよォー」

ああ、ありがとう、と言い残してホット・パンツは席に向かった。
その間も何回か咳き込んでたけど。
そろそろぼくも席に着こうかな、と思った瞬間、ドアが乱暴に開けられた。

(…もう来やがった。)

「ジョニィ!!何で待っててくれないんだ!!!30分も待ったんだぞ!!!」

鼻を啜りながら、ディエゴ・ブランドーは教室へと入ってきた。
とりあえず、鼻くらいかみなよ汚ない、と言ってティッシュを投げると顔を赤くして、良いのか…?聞いてきた。
ああ、面倒くさい。

「もうやだこいつ」

「ム…何故だ?」

「いいよ気にしないで言っても無駄だから」

「そ、そうか…それよりジョニィ!!貴様のせいでこんなに手が冷えてしまったぞ!!!」

暖めろ!と冷えた両手で顔を挟まれ、変な悲鳴をあげてしまった。
こいつ、ぶっ飛ばしてやろうか。

「今のかわいいな」

「うるさい!離せ!!」

すりすりと頬に触れてくる手の冷たさに背中が栗たつ。
助けを求めようと周りを見れば皆見ないふりをしている。
いつも助けてくれるホット・パンツはやっぱり具合が悪いのか机でダウンしていた。
ジャイロはさっさと自分の席について雑誌を読んでいる。
くそっ、あとで一発殴る。ふと目を離した隙に手が離れて、ガッチリと前から抱き締められた。

「おい!ほんとに止めろよ!!誤解されるだろ!!」

「別に俺はされてもかまわん」

「ぼくはかまうんだよ…!!!」

ギリギリと腕をつかんで離そうとするけれどびくともしない。
諦めずに離せとか止めろとか言ってみるけれど、多分もう聞こえてない。

「〜っ…だから…!!」

(お前のそういうとこが嫌いなんだよ!!!)

このあとぼくとやつの攻防はぼくが押し倒されるまで続き、教室に入ってきた先生にディエゴが指導室へと連れていかれた事で幕を引いた。
ぼくは半分泣きながら一発ジャイロを殴っておいた。




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