ルームメイト
2014/05/13 00:58

ディエ→ジョニ(現パロ)

ただいま、と声をかけるとキッチンの方から良い香りと共に、お帰り。と声が帰ってきた。今日の夕飯は何だろうか。靴を乱暴に脱いでバタバタとキッチンへ向かうとディエゴがエプロン姿で立っている。何を着ても似合うから腹が立つ。

「何作ってんの?」

「スープカルボナーラとポテトサラダ」

「やった!はあ〜ぼくお腹ぺこぺこ…あっ温泉卵付けてね!!」

「ああ」

鼻歌交じりにリビングへ向かいコートとニット帽を脱ぐ。ソファに座り込みポケットからスマートフォンを取り出すと先ほど別れたばかりのジャイロにLINEを送った。暫くやり取りをしているとディエゴから皿を取りに来いと声をかけられる。はーい。と返事をして再びキッチンへ向かうと綺麗に盛り付けされたポテトサラダとスープカルボナーラ。温泉卵が蕩けていて見るからに美味しそうだ。
リビングにある机に皿を持って行き、他愛ない会話をしながらの食事。今日は何処へ行ったとか、明日は遅くなるとか。
今彼とこうして過ごしているのを昔のぼくが聞いたらジーザス!!って叫ぶかも。だって、彼の事が大嫌いだったから。
ひょんな事から毛嫌いしていたディエゴも気が合い、家も近かった為頻繁に出入りしていたのだが、ある日ぼくが、ディエゴの家居心地よすぎ〜もう帰りたくない。という発言をした事から、じゃあ二人で暮らすか?と提案されあっという間に彼との共同生活が始まった。生活するにつれ、ディエゴは思っていたほど悪い奴じゃないって事に気付いた。噂だけで人を判断しては行けないって事だ。

「…ああ、そういえば今日のテストどうだった?」

「あっそうだよそれ!!ディエゴから教えて貰ったとこ、出たよ!もうバッチシ」

「それは良かった」

「次も頼むよセンセ」

ごほ、とディエゴがむせる。大丈夫?と声をかければ顔をほんのりと染めながら口元を抑えていた。何だこいつ。
それから、談笑しつつカルボナーラをおかわりして、食事が終わると二人でソファに座ってDVDを見た。勿論ジャンルはスプラッター有りのホラー物。
暫くするとディエゴが立ち上がり、明日は休みだし飲むか?と赤ワインを取り出して来た。飲む!!と二つ返事をしてグラスを用意する。
その間にディエゴは冷蔵庫の物でつまみを作っていた。トマトのチーズ焼きと瓶詰めのオリーブをマリネにしたもの。
他にも酒が無いか探すとビールとサワー缶があったので取り出す。殆んどDVDは流し見状態で二人で話していた。
ぼくも、また珍しく彼も酷く酔っていて二人してくだらない事で笑っていた。するりとディエゴがぼくの髪に触れてくる。

「何だよおディエゴ、どしたの?」

「ン……いや綺麗だな、お前の髪は」

「ふふっ今更〜?てか、それ女の子に言えっての!」

ケラケラと笑えば、眉を寄せて髪から手を離す。正面を向くとグラスを傾けて、何か言いたそうに口を開きまた閉ざした。

「ンだよ……」

「…………なあ、好きな奴がいるんだ」

「エッそーなの、だれ?ぼく、知ってる?」

「……まあ」

酒だけの赤みじゃなくディエゴの頬がじわりと染まっていく。それが可笑しくてどんどん詰め寄った。逃げるディエゴに、だれ、教えてよ〜と縋りつくと、突然視界がぐるりと反転。首に縋りついたまま押し倒された。

「お前」

お前だよ、好きな奴。

そう告げられて、顔が近づいてきて、そこから先は覚えてない。
ただ、受け入れた唇は柔らかくて案外心地良かった気がする。
背後では相変わらずホラー映画が流れっぱなしになっていた。




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