親友以上恋人未満
2013/10/24 08:24

□ディオジョナ

※BTのような仲良しな2人です。

今日はとてもいい天気だ、暖かい風が窓から入り込んでくる。庭に咲いた秋薔薇の良い香りが頭を覚醒させた。コンコンと短めのノック音の後、義兄弟のディオが、ジョジョ入ってもいいかい?と声をかけた。どうぞ、と返すとディオが入ってくる。パリッとしたシャツとネクタイをキチンと締めてサスペンダーでズボンを吊っていた。いつ見ても、僕の義兄弟は完璧だ。

「朝食に行こうぜ、ジョジョ。何やら下からいい香りがしてさ……目が覚めてしまったよ」

腹を摩りながら言うディオにならい、僕も匂いを嗅ぐと焼きたてのパンの香りが漂ってきた。ぐう、と腹が音を立てて、本当だ。と二人で笑う。着替えるからちょっと待っててくれよ。と伝えるとディオは僕のベッドへと腰掛けた。

「今日の約束、忘れてないよな?」

「ああ、勿論さ。近くの森に野いちごを食べに行くんだろ?」

「君もきっと気にいるぜ」

ナイフを取り出しながらディオは言った。ディオはとても物知りだ。今回の野いちごもそうだが、図書館の秘密の部屋や、どこのパン屋さんが一番美味しいか、だとかそれとこれは何度もやめろと言ったのだが、どこのストリートはスリがし易いカモが沢山いるだとか……
ディオといると楽しい事ばかりだ。(勿論危険な事もあるのだが)そして、ディオは友人が沢山いた。同年代、年上、年下、大人にまでディオは好かれていた。僕はその事を誇りに思っているし、一緒にいて鼻が高い。
きゅ、とリボンを結ぶとディオがやってきて整えてくれる。ありがとう。と言って笑ったら、そろそろ自分で結べるようにならなきゃな。と言われてしまった。

下へと降り、暖かいスープと焼きたてのパン、それにベーコンエッグを食べた後、木に登ったり少し遊んでから森へ向かった。野いちごを持って帰るためのバスケットと、自分達のお気に入りの本を持ってその場に向かう。ディオが僕の脇腹を突ついたり、僕がやり返したりしながら歩いた。

「着いたぜ」

「わあ!!すごい、こんなに沢山あるんだねえ」

ぽつぽつと赤い実が顔を出している。一つつまんで食べてみると甘酸っぱさが口いっぱいに広がり思わず顔が綻ぶ。二つ三つと口に運びながら、これ持って帰ったらきっとベティがジャムにしてくれるね。とディオを振り返ると、野いちごを口に放り込みながら、楽しみだなと笑った。
ひとしきり野いちごを食べ、少し休憩しようと木の幹に背を凭れ二人して本を読んだ。暫くお互いに黙り込み熱中していたが、途中ディオが寄りかかって来たのでどうしたの?と聞くと突然、好きだ。と告げられる。たまにある事なので僕は特に驚かなかった。僕も大好きだよ。と返して笑うと少し拗ねたような顔をして唇を尖らせる。何だかその顔が可愛くて頭を撫でた。ディオの冷たい手が頬をすりすりと撫でてそして、滑らかな唇が僕の唇に触れた。甘酸っぱい野いちごの味が広がる。

「……どうしたんだい?今日はとっても甘えただね」

「ダメかい?」

「何だか子猫みたいでかわいいよ」

クスクスと笑って言うとますます唇を尖らせて僕の首筋にすり、と顔を押し付けた。
日が暮れて少し辺りが暗くなり始めた頃野いちごの入ったバスケットを持って家へと急いだ。他愛もない話をして来た道を歩く。僕は対した事が言えないけれどディオの話はいつも面白い。
屋敷が見えて来て、どうしてディオこんな僕と一緒にいるのだろう。と考えているとディオが僕の頭を引いてまた、触れるだけのキスをした。ビックリして瞬きしているととっても楽しそうに、明日はどこに行こうか、釣りでもするかい?と誘ってくれた。
僕は嬉しくて思わずディオの手を握って、うん!と返事をした。
二人を繋がった影が長く長く伸びていた。



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