嫌よ嫌よは嫌いのままで
2011/11/13 10:56

□ディエジョニ

レースの途中、木陰で休むジョニィ・ジョースターを見つけた。
こちらにはまだ気づいていないようだ。
ジャイロ・ツェペリは傍にいない。
それをいいことに俺はジョニィの観察を始めた。

俺のことを異常なまでに嫌うあいつには興味がある。
何故あそこまで俺を憎んでいるのか?
今までレースで俺に一度も勝てなかったとか、
そういう事じゃあない。
本能だ。
あいつは本能で俺を憎んでいる。
体に染み付いたあいつとの因縁が俺たちを反発させている。

ふと、ジョニィ・ジョースターがこちらの視線に気づいて険しい顔をした。
にやりと笑って近づいてやる。

「ごきげんよう、ジョースターくん」

ますます顔を険しくするジョニィに俺の笑みは濃くなるばかりだ。
あの目に睨まれるのは嫌じゃない、むしろ好ましい。
あいつの視線に入っているというだけで喉が鳴る。

「こっちへくるな…Dio」

「おいおい…そんなに嫌うなよ…傷つくだろう?」

横を向いている顔を掴んで無理矢理目線を合わせる。

「離せ僕はお前が嫌いだ」

「ほう…俺はけっこう気に入っているがな」

「あっそう…どーでもいいけど、さっさと手を離さないとその顔に傷がつく事になるよ」

見れば顔の近くに爪を向けられている。
もう片方は俺の手を剥がそうと爪を立てていた。

「フン、そんなもの俺が避けられない筈がないだろう?」

「どうだか…それにジャイロがまだ近くにいる、叫べば気づいてくれる距離にね…」

「…随分と、ジャイロ・ツェペリに執着しているんだな…」

顔を掴んでいる手に力をいれる。
苦痛に歪める顔がなんだかとても懐かしい気がした。

「…君には関係ないだろう」

そう言って目線を逸らしたその瞬間、
生意気な唇に噛みついてやった。
大きな瞳が見開かれる。
ざまあみろ。

「ッ…!!!?」

「…いいかジョニィ・ジョースター、お前が見ていいのはこの俺だけだ…昔も今も、な」

ジャイロの馬の足音が聞こえ、その場を立ち去ろうと立ち上がる。
後ろではジョニィが何か叫んでいたが、何を言っているのかまでは耳に入ってこなかった。

(次は何をしてやろうか)

ちらりとジョニィを振り返って不敵に笑ってやった。



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