恐竜より愛をこめて
2012/03/15 02:21

□ディエジョニ

3rdステージの途中、ディエゴ・ブランドーは小さな町へたどり着いた。

愛馬のシルバー・バレットを馬舎へと入れ、軽くブラッシングをすると近くの宿へと入る。

(…何人か知っている奴も泊まっているみたいだな)

クンクンと匂いをかぎ周りを探り歩く。
受付で手続きをすませ鍵を受け取り部屋へ向かおうとした時、廊下で偶然ジョニィ・ジョースターを見つけた。
ジョニィはディエゴの顔を見た瞬間、眉を寄せて車椅子を方向転換しようとしたが、ディエゴは逃がすまいとグリップを掴んでジョニィを引き留めた。

「…おやおや珍しいなぁ、ジョースターくん…一人かい?」

「君には関係ないだろ、離せよ」

「そう嫌がるなよ…ジャイロがいないのならば好都合だ……この間の返事が聞きたい」

「………NOだと言ったはずだけど」

もうその話しはしたくないと拒むように、ジョニィの表情が険しくなる。
ディエゴは睨むような視線を受け流し、少しクセのある髪の毛に触れた。
そのままそっと髪にキスをする。
びくり、と体を震わせるジョニィを愛しそうに見つめ、膝まづいた。

「ジョニィ…好きなんだ、本当に…愛している」

「ちょっ…!ここをどこだと思ってるんだよ」

廊下なんだぞ、と声を潜めるジョニィに、じゃあ部屋だったら俺の話を真剣に聞いてくれるのか?とディエゴが尋ねる。
ジョニィは少し戸惑ったように視線を泳がせたが、しばらくして分かった、と頷いた。


部屋に着いて、ディエゴはジョニィを車椅子から下ろしベッドへ座らせ、自分は椅子へと腰かけた。

「ジョニィ…俺が気持ち悪いか?」

「…別に、そういうわけじゃ…」

「…他に…好きな奴がいる、のか?」

「……いないよ」

「じゃあ」

ディエゴ、と遮るように名前を呼ばれる。

「言わないでくれ」

「ジョニィ…?」

ぼくに人から愛される資格なんてない、と俯きながらジョニィは呟いた。
ぱたりと涙が零れる。

「…兄さんが死んでしまったのはぼくのせいだ、父さんの愛する息子を奪ってしまった、本当は…」

ぼくが死ねばよかった、嗚咽まじりに紡がれる言葉に、ディエゴは思わずジョニィを抱きしめた。

「…そんなことを言うな」

幼子をあやすように背中を撫でる。
決して細くはない体がとても儚げで、抱き締めていないと崩れてしまいそうだった。

(…ずっと、胸に溜め込んでいたのか)

ディエゴはギリ、と奥歯を噛んでジョニィの肩に顔を埋めた。

ディエゴには両親がいない。
だが、母親はディエゴの事を愛してくれた。
愛する母親を見殺しにした奴らに復讐してやろうと思っていた。
しかし、ジョニィを見たとき何かが変わった。
自分を嫌うその態度が、愛を拒絶するものだと分かっていたからこそ、ジョニィに惹かれた。
与えてやりたくなったのだ、愛を。

「ジョニィ、俺が好きなのはお前なんだ…お前だけだ」

こんな気持ちになるのは、抱きしめていた腕をほどき正面からジョニィを見据える。
ポロポロと流れる涙を舌で舐めとり、頬にキスを落とした。

「……でも…」

オロオロと言いよどむジョニィにディエゴは優しく髪を撫でる。

「今すぐ好きになってくれとは言わない…ゆっくりで構わない」

待っている、と額にキスを落とす。
ジョニィは暫くして小さく、ありがとう、とこぼし、はにかんだ。

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珍しくらぶらぶ



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