デブリと過ごす一週間。

監督ご飯って作れますか?
あ、そうですよね普通成人男性でもご飯くらい作れますよね、僕間違ってなかったですよね!
なんであの人「ご飯?ああごめんね今パスタ茹でるからね」とか当たり前に言ってるんですかね、いや僕パスタ好きですよ。食べれます。でも当たり前みたいにパスタっておかしくないですか。朝昼晩いつ聞いても同じことしか答えてくれないってどうですか?
あんまりにもあんまりなのでルシェさんに言ったら「フィディオだもの」ってなんですかそれ!
そもそもイタリア人がパスタってなんですかそれ、あの人テンプレートでできてるんですか?王道の王子様じゃあるまいし。え?なんですか監督。…王子様だろって…いやえっと…そうなんですが、見た目だけでいいです。
…蘭丸先輩聞こえてます。僕だって自分がこんなに饒舌に怒れるなんて思ってなかったんですが、なんでしょうか…理想を崩されたってこうゆうことなんでしょうか。
なんで笑うんですか!確かにあの人のサッカーは大好きですし、尊敬してますし、もっと知りたいと思うし、近づきたいとは思いますが!でもそれだけで納得して笑って過ごしてはいけない気がするんです!
ああもう天馬までなんてそんなに楽しそうなの!僕は怒ってるんですってば!

「でも、知りたいって思うのは好きだってことだよ」

ですから!怒ってるんですってば!


デブリと過ごす一週間。


輝が来てからのフィディオはなんだかとっても楽しそう。
何時もは作らないご飯なんか作って(輝は呆れちゃってるけど)、学校に行く輝を見送ったらちゃんと部屋を掃除するの。
しっかりしてないって訳じゃなかったけど、イタリアにいたころは私がやる事が多かったそんなことをフィディオは「やってもいいかな」って聞いてくる。
輝が「美味しいです」って言ってくれたら嬉しそうに笑うし、綺麗な部屋を驚くと得意げに話すし、それでいてちゃんと親みたいに頭を撫でたり、叱ったり褒めたり。本当に楽しそう。
それに、今日は一人で出かけるってスーツを着て出て行った。隠してるつもりなんだろうけど私の目は今はちゃんと光を映すんだから知ってるの、Kのおじさまのお墓に行くんでしょ?昨日地図を探してたこと、知ってるんだから。
今まで言い訳ばっかりして逃げてたけど、日本に来て、輝に会って、フィディオの中で何かが進みだしたから。
だから今日の私はお留守番。
もしかしたら目を真っ赤にして帰ってくるかもしれないから、ハンカチを用意して「そんな顔じゃ輝に笑われちゃう」って言ってあげるの。

「フィディオの彼女みたいだね、ルシェちゃんは」

いやだなぁマルコさん。フィディオの恋人は何時だってサッカーの女神一人だけよ?


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