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MARTH SIDE

「…暇だなぁ」

そう、この時僕は暇だった。ひとまず有志の集ったこの志村邸で、特にすることもなくぼんやりと縁側に腰掛けているだけなんて、アクティブな僕には些か刺激が足りないのだ。
またオキタって子に会いたい。
剣を交えたのはほぼ一瞬だけれど、なかなか骨のある剣士だった。彼と剣を交えるならば、暇つぶしにはちょうどいいだろう。
思い立ったが吉日。僕は徐に立ち上がり、隣で煙草をふかしていたスネークを振り向いた。

「…という訳で、僕出掛けてくるよ」

「お前…何が“という訳で”だ。これ以上厄介事の種を巻き散らすなッ」

「失敬な。僕は君たちの刺激の足りない日常に、非日常を提供してやってるだけだ」

「それが余計なお世話だと言ってるんだ!」

僕が何を言おうともスネークは頑として首を縦に振らない。まぁ、元々許可をもらうつもりも無かったので、ここは彼を無視して出発することにしよう。
僕は神速を謳う剣技で瞬間的にスネークを黙らせた。喉元に突き付けられた剣先を見つめて冷や汗をかく彼に、にっこり笑って「それじゃあいってきます」と出掛けの挨拶を吐く。スネークは渇いた笑い声を交えながら「行ってらっしゃいませ」と返してくれた。ふむ、苦しゅうない。

さて、それじゃあ心置きなく出掛けようか。



刺激が無ければ、人生半分は損しているからね。

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