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ボクが背に乗るや否や、リンクは一気に加速して――そのまま廊下の窓を突き破った。
ボクらの体は、二人仲良く空中に放り出された体になる。
『り、リンク!何するつもり…』
『喋るな!舌を噛むぞ!』
そうこうしてるうちに、リンクは何処かの屋根に着地しようとしていた。うわぁ、相当な高さから飛んだから、痛いだろうなぁ。ボクは慌ててリンクの背中にしがみつく。
思っていたような衝撃は無かった。着地の衝撃はほとんどリンクが吸収してくれたらしい。リンクは数瞬、言葉にならない唸り声を上げてその衝撃を甘受していた。
そういえば、ボクたちはカムイたちから逃げている途中だった。
はっと思い至って頭上を見上げたボクは、度肝を抜かれた。
――ボクらを追って、カムイとアブトまで窓から飛び降りてきている!
『リンク!奴ら追って来てる』
『オイオイ…嘘だろ』
しびれを払うように頭を振って、リンクは走り出した。
それと入れ替わりに、カムイの傘が今までボクたちのいた屋根に突き刺さる。
「意外とすばしっこいんだね」
逃げるボクたちに、カムイのそんな呟きが追い縋る。そのすぐあとに、アブトが「おい団長、依頼人ほったらかしでいいのか」と緊張の欠片もないことを宣った。
もう、なんなのこの人たち!余裕ぶっこいちゃって!!
『おいワン公!一瞬止まれ!』
怒った。ここは一発お返ししなければ気が済まない。
『え、ワン……分かった』
リンクは僅かに俊巡するように言葉を詰まらせたけど、大人しくボクの言葉に従う。ボクはリンクの背から飛び降りて、迫って来るカムイとアブトを見据えた。
アブトはともかく、カムイは相変わらずへらへら笑いやがって気にくわねぇ!
『テメェら調子こいてると三枚に下ろして簀巻きにするぞ!』
『ぴ、ピカチュウ…キャラが…』
『うるせぇ、ワンコロは黙ってろ!』
『はい…』
うるさいリンクは黙らせて、ボクは両手を蒼穹に伸ばす。頬の電気袋に体内の電気を集中させて、…解き放つ!
…え?アニメが違う?気にすんな!
『ぅぅ――“かみなり”ィィィ!!』
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