28

それから暫く、僕とリュカはお妙さんが出してくれたお茶とお菓子をつまみながら、談笑していた。
会話の内容はもっぱらお互いの身の周りのことで、僕とリュカは愉快なスマッシュブラザーズの仲間たちの話をした。一方お妙さんはメガネの弟さんの話から始まり、その弟さんが慕っている銀髪のお侍さんの話と、弟さんのお友達のチャイナ服の女の子の話をしてくれた。
お妙さんは、時々口汚くお侍さんを罵ったりした。そのお侍さんというのがとんでもない甲斐性なしで、給料も家賃も払わないろくでなしなんだと言う。それでもお妙さんがその人の話をする時は非常に生き生きしていた。

「面白い人なんですね、そのお侍さんは」

リュカがそう言うと、お妙さんは苦笑するように肩をすくめた。

「馬鹿なひとなのよ」

そう言う割に、その表情は穏やかで。僕とリュカは、こっそり顔を見合わせた。
ちょうどその時、屋敷の表が騒がしくなった。次いで玄関の方から、「姉上、ただいま帰りましたー!」という青年の声が響く。話に聞いた、お妙さんの弟さんが帰還したらしい。
続けて気だるそうな「邪魔するぞー」という大人の男の人の声と、「姉御ー、お邪魔するアル」という独特の訛りのある女の子の声がした。
その声を聞いたお妙さんが、悪戯っぽく笑う。

「噂をすれば、なんとやら…ね。新ちゃんたら、銀さんと神楽ちゃんを連れて来たみたい」

その三人の名前は、先程お妙さんとの会話に出てきた例の三人のものだ。
どんな人なのか、会うのが少し楽しみだったので、僕は居間に近付いてくる足音をウキウキしながら聞いていた。が、どうも足音の数が合わない。僕は特別な訓練を受けたりしてる訳じゃないから詳しくは分からないけど、少なくとも五人以上の足音がこちらに近付いてくる。

ヤバい。何か嫌な予感がする。
リュカに話した“嫌な予感”の正体は、今にもこの居間に辿り着こうとしている者たちからしているのだ。何だ、一体。何が来るんだ!?

僕がだらだらと冷や汗を流しながら居間の襖を凝視していると、それは呆気なくスパンと横に開かれた。
現れたのは、お妙さんから聞いていた通りの外見をしたメガネに黒髪、袴姿の男の子と、ピンク色の髪の毛をしたチャイナ服の女の子、そして銀色の髪を持つ派手な着物のお兄さん。
中々に変わった風貌の三人組だけれど、僕の視線は寧ろ彼らの後ろに控えた協調性皆無な集団に釘付けになっていた。

赤髪の将軍と蒼髪の王子、純白の天使に迷彩のスパイ。

嗚呼、そうか、僕の嫌な予感は確かに的中していた。――ここに居たら、他の仲間と合流することになり、カギ探しを手伝わされる確率が格段に上がることを、僕のテレパシーは告げていたのだ――!
そう心中で嘆く僕を後目に、リュカは実に嬉しげな様子で協調性皆無な集団に駆け寄った。

「ロイさん!マルスさん!ピットさんにスネークさんも!良かった…やっと会えた!」

[ 30/53 ]

[*prev] [next#]


[←main]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -