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第二部



辺りには、時代錯誤をそのまま体現したような異様な建築物が立ち並び、見慣れた風景や見知った友人たちが視界に入ることもない。
少年は不安だった。
未知の土地に対する不安。
が、不幸中の幸いにして、少年は独りではなかった。

「あーぁ、何か全然知らないとこ着いちゃったね。リュカ」

少年の隣には、彼と同い年くらいの、黒髪に野球帽を被った少年が立っていた。
少年――リュカは曖昧に笑い、それまでキョロキョロと動かしていた視線を、黒髪の少年の足元に落とした。

「…でも、ネス…僕心配だよ」

「ははは、リュカは心配症だもんね」

「いや、そうじゃなくて…」

「それじゃあ、リュカ」

黒髪の少年――ネスは、リュカの弱々しい反論など意にも介せず、にこやかに言葉を被せた。

「正直、僕はカギとか時間とかどーでもいいんだ。だから」

屈託のないネスの笑みが、リュカに向けられる。

「…サボって遊ぼう?」

「……ネス…」

「せっかく二人いることだし!さ、あっちの見てみようよっ」

――嗚呼、不安だ。
少年リュカは心中で嘆く。

未知の土地に来たことが…ではなく。



――この少年…ネスと行動を共にしなければならないことが。

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