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「あんなまどろっこしいことしないで、すぐに殴り込めば手っ取り早いアル」
その背を見送り、神楽が不満そうに呟く。リンクがお気に入りだった神楽にとっては、彼がいないのがつまらないらしい。そんな神楽を慰める為か、ロイが口を開いた。
「まぁまぁ工場長、そう簡単にはいかないんだよ。俺たちもそうしたいのは山々だけど、それにはまだ仲間が足りないんだ」
「そういえば、40人近くいるってロイ君言ってたよね」
ロイの言葉に新八が同調する。まさか40人全員を集めなきゃいけないとか、そんな話…!?
が、そんな俺の危惧はマルスが否定した。
「数が多いに越したことはないが、別に全員がいる必要はない。ただ、鍵を回収した後に、鍵のエネルギーをマスターのいる空間まで送り届けることの出来る仲間がいないと不味い」
続けて、ピットが言う。
「それが出来るのがカービィさんなんです。カービィさんのお腹は、マスターさんのいる世界に繋がっています。鍵のエネルギーをカービィさんが吸い込むことで、僕たちの任務は終了…」
「ちょ、ちょっと待て!今何て言った!?腹が、何処に繋がってるって!?」
ピットの口からさらりと爆弾発言が漏れたぞ!?
が、当のピットはきょとんとしている。
「ですから、カービィさんのお腹が、マスターのところに」
「腹がどこでもドアみたくなってるアルか」
「か…神楽ちゃん、せめて伏せ字に…」
神楽の発言に新八が大人の都合でオロオロし出す。それには構わず、スネークが真面目くさった顔で言った。
「どこでもドアならまだ可愛いもんだ。カービィは自分の体よりも大きな生き物も軽々と吸い込み、その強力な胃酸で溶かし、吸収してしまうらしい」
「嘘ォォォ!?」
カービィさん怖ェェェ!つか何者!?エイリアン!?
そんな俺の恐怖想像は、すぐにロイが「スネーク、嘘吐くなよ!」と言った後も暫く消えなかった。
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