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「ん?ところでトシ、こちらの不思議な集団はどちら様だ?万事屋の友達か?」

「あぁ、気にしないでくれ、近藤さん。万事屋の仲間だ」

ピカチュウの呟きに気付いたゴリラが、特にピットに目を留めてそう問うと、副長サンは面倒臭そうに投げやりな返事を寄越した。なんか俺たちまで奇人変人のくくりで一まとめにされた気がするが。
そこへすかさずピカチュウが異論を唱える。

『ボク、ヒジカタさんのお友達だよ』

「だからテメェと友達なんぞになった覚えはねぇ!!」

『えへへー、ヒジカタさんたら照れちゃって』

「えへへー、土方さんたら旦那に続いて二股ですかィ」

「総悟テメェぶっ殺されてぇのか?!」

「まったくもう!局長が待ってるのに副長も沖田隊長も遊び過ぎです!さっさと行きますよ、ホラっ」

「ホラ見なせぇ土方さん。アンタと遊んでたら山崎なんかに怒られちまったじゃないですか」

「総悟テメェェェ!!」

「さりげなく俺まで馬鹿にされてるし!!」

「よーし、皆乗ったな。それじゃあ行くぞ。おぉ、そうだ新八君、お妙さんによろしくな」

言いたいだけ言って、愉快な税金泥棒たちはパトカーで去っていった。
最後に新八が「嫌な言付けすんじゃねぇ!」と叫んだきり、道路には一切の静寂が降りる。途端に音のない世界に来たみたいだった。

「これからどうするんだい?」

その沈黙を、マルスがあっさり破った。

「そのウエサマ…とかいう人が襲われたからには、“鍵”が動き出した可能性が高いんだろう?」

『上様っていうのは、この国の一番偉い人なんだ。そういう大それたことするのは、多分当たりだね』

いつの間に知ったのか、ピカチュウはこちらの知識を多少なりとも吸収しているらしい。

「それじゃあ、セカチューはこれから江戸城に殴り込みに行くアルか」

「ピカチュウな。で、どうすんだ」

神楽の間違いを保護者として訂正しつつピカチュウに問えば、彼はとことこと歩いてリンクの背に飛び乗り、何処か自慢げに言った。

『ボクとリンクで、まずは偵察に行くよ』

言うや否や、ピカチュウは可愛いらしい仕草で『ハイドー』と叫びリンクの背中を軽く叩いた。リンクは物言いたげに俺たちを一瞥したが、結局そのままバビュンと走り出してしまう。物の数秒と経たないうちに、リンクたちの姿は路地の陰に消えていた。

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