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HIJIKATA SIDE:2

時は少し遡り、リンクたちがぞろぞろと江戸の街を歩いていた頃――

何とも言い難い沈黙が屯所内の取り調べ室に流れた。
ただの密入国者かと思われた喋るぬいぐるみと怪しげな男二人は、実は江戸に災禍をもたらそうとしている者を倒す為にやって来た“救世主”だったのだ。
いきなりそんなことを言われて信用しろと言うのも無茶な話だが、こいつらの言うことには何故か嘘だとは言わせないような“何か”があった。

暫くして、蒼髪の若い男が口を開いた。

「…まぁ、僕たちの問題だからね。手伝えとは言わないよ」

常に余裕すかした笑みを浮かべているこの男は、今俺の目の前にいる三人組の中で一番信用ならない。しかしその言葉の端々には王者の風格とでも言うような威圧感があった。

「寧ろ干渉してくれるなと言いたいぐらいだ。足手まといはいらない」

「マルス、話をややこしくするな」

若い男の横にいる、中年の男が咎めるように言った。確かに今の若い男の一言にはカチンと来たし、実際総悟は今にも立ち上がりそうである。しかし若い男は悪びれる様子もなく、肩をすくめて言った。

「言い方が悪かったなら謝ろう。ただ、僕たちは“邪魔”されたくないからね」

いかにも含みのある様子で言うこの男に、ついに総悟が切れた。

「テメェ…好き勝手言いやがって」

ゆらりと立ち上がって腰の刀に手を伸ばす。俺はそれを片手を上げて制した。

「落ち着け総悟」

「土方さん、こいつら斬っちまいましょうよ。その責任は土方さんが腹を切って取る方向性で」

「ふざけろ!…大体な、こいつらが嘘を言っている確証もないんだぞ」

「へぇ?土方さん、こんな得体の知れない奴らの言うことを信じるってんですかィ」

嘲るような調子の総悟は、完全に瞳孔が開き切っている。俺がなんと諌めようかと言葉を探しているうちに、しかしその思考は中断されていた。

屯所の外から、犬の遠吠えが聞こえて来たのだ。

野犬か、と思ってふと目の前の密入国者三人組を見やると、全員が何を思ったのかぽかんと口を開けて遠吠えのする方を見ている。そんな中で、ふと男二人の間にいたぬいぐるみが喋った。

『リンクが来たみたい』

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