!これはもし青の祓魔師がテレビドラマだったらという妄想から派生したもので、原作と著しく異なる点が多々あります。
!作中年齢が原作の年齢と異なっているキャラもいます



▼作中の「青の祓魔師」について
メフィスト・フェレスが監督兼脚本を務めた連続ドラマ。
ドラマ内のキャラクター名は役者の名前と同じになっている。

▼奥村燐
体力に定評のある今注目の若手実力派俳優。
演技力はさることながらその体力と人並み外れた身体能力で過激なアクションシーンもスタントマン無しでこなす。
最近某ファイト一発のCMに出演して人気上昇中。
孤児で藤本に育てられたが中学時代はちょっと荒れていたとかで双子の弟よりもデビューが遅い。
頭が悪いのが露呈してお馬鹿俳優扱いされないように、主にクイズ番組などのバラエティーには露出控え目だが最近若干バレ気味。
料理が得意だと双子の弟によって明らかになっている。

▼奥村雪男
超人気若手イケメン俳優。
ドラマや映画、CMにバラエティーまで引っ張りだこでテレビに映らない日はないと言われている。
俳優としての活動意外にモデルとして活動中、有名大学の大学生。
バラエティーで非常によく兄の話をするので「あれ奥村雪男ってもしかして……」と思っている人がいるとかいないとか。
兄と同じく藤本に育てられ、順調に演技力を磨いて中学一年生の時にデビューした。
人気グラビアアイドル兼実力派女優の霧隠シュラは姉弟子で、一緒に藤本からの演技の指導を受けていた。

▼ミョウジ ナマエ
夢主。地方でスカウトされて上京、美少女コンテスト的なのでグランプリを取ったばかりの新人女優。
学生時代は演劇部に所属していて演技力には定評があるが、まだドラマ出演ニ作目で常時緊張気味。
歌が上手く歌手デビューを間近に控えている。
本人のキャラに反してクールな印象の役が上手いと評判だが本人は複雑。
若干オタクで地元にはアニメ関係の店やイベントがないので、東京に出てきて積極的に行きたいと思っているがスケジュールが忙しくて未だに行けていない。

▼藤本獅郎
超有名演出家で、今まで何人もの俳優女優をトップレベルに押し上げた実力の持ち主。
元々は自身も俳優であるが滅多に出演することはない。
奥村兄弟の養父であり、幼い頃から才能を見い出して演技を教えてきた。
メフィスト・フェレスとは若い頃からの付き合いでメフィスト脚本の作品で演出を担当することもしばしば。
本人の名前は全く違うのに某しんちゃんのお父さんに声が似ているからという理由で「ひろし」と呼ばれることがある。

▼杜山しえみ
現在CM契約数十社以上と言われている、癒し系若手女優。
バラエティーで天然ぶりを大発揮していて、絶対キャラ作ってるだろと思っていた人も話してみて「この子は本物だ……!」と恐れ戦くらしい。
一度料理番組で調理に挑戦した結果放送事故が起こったのは有名な都市伝説。
歌がお世辞にも上手いと言えず、彼女が歌った際ズコーと言うのはファンの中ではお約束。
特に重症のファンを杜山病というらしい。

▼勝呂竜二
超大御所落語家の息子であるが本人は落語の道には興味がなく、独力で演技を勉強してオーディションに合格した努力家。
現役高校生だが貫禄があり実年齢に見られない。
殺陣に定評があり、時代劇に数多く出演する。
お茶の間のおばあ様方から特に人気が高い。
記憶力に非常に優れており、一読した台本の台詞はすぐに覚えてしまうらしい。
子猫丸は実家の門下生だが、勝呂についてきている。

▼志摩廉造
一族芸能人だらけの一家の末っ子、ちなみに父親はトレンディ俳優で長男は数多くの映画で主演を務める人気俳優、三男は超人気バンドのボーカル。
志摩の名前で有名になるのが嫌で某アイドル事務所のオーディションを受け合格、しかし歌やダンスが苦手なためグループに所属せず俳優としてデビュー。
バラエティーで桃色な話をしまくった結果渾名はエロ魔神、世の男性から敬意を持って呼ばれている。
可愛いと思った女優アイドルにはひたすら声をかけまくるが、奇跡的に今までスキャンダルは一度もない。実家が勝呂の家と親交がある。

▼神木出雲
朴と二人で国民的アイドルユニット。
母親が典型的なステージママで子供の頃からたくさんのレッスンやオーディションを受けてきた、非常にプライドが高い。
しえみとは性格的に合わないと苦手。
実は隠れオタク(ちょっぴり腐った方向)でお忍びでアニメイトやコミケに行く、この事を知っているのは親友の朴のみ。

▼メフィスト・フェレス
この人が書いた作品は必ず売れると言われている世界的に有名な作家であり脚本家。
日本でオタク文化にはまってからは活動の拠点を日本に移す。
年齢不詳。
ハリウッド俳優のエンジェルとは犬猿の仲。




1 決まった仕事


「その話本当なんですか!?あのメフィスト・フェレスが私をオファーしてきたって……!」

電話口のマネージャーも「最初まさかと思って聞き返した」らしい。
メフィスト・フェレスと言えば現在日本を拠点に活動している超売れっ子脚本家だ。
最近新作の完全オリジナルドラマを制作中とは聞いていたが、まさかオファーが来るなんて。
震える手で携帯の電源ボタンを押すと、パタリとベッドに倒れ込んだ。

「しかも滅茶苦茶共演者豪華だし……」

年齢的には皆同じくらいだがまだデビューしたての私とは違って、連日テレビで見かけるような面々である。
やばい、まだ内容も何も聞いてないのに緊張してきた。
しかしそれでもいつもと同じようにぐっすり寝入ってしまう辺り、意外と自分は図太いのかもしれない。
そんな驚きの知らせから数日後、ミョウジナマエの姿は「青の祓魔師」と貼り紙がしてある部屋の前にあった。
ここで最初の打ち合わせというか、顔合わせがあるらしい。
今更ながら大丈夫なのか、やっぱり間違いでしたとか言われて引き返す羽目にならないのか、不安になりながらもドアノブに手を伸ばした。
カチャリと音がしてドアを開くと中は机と椅子がまるで学校の教室のように並べられていた、しかしパイプ椅子で告白に見立てられているのがホワイトボードなのでちょっと違うが。
机の上には既に台本らしき冊子が置かれていて、ご自由に見ていていいらしい。
そんな中で一番前中央の席に一人座っていた。
そんなに高くない身長(男性はそういうの気にするから口にはしないでおく)、それに黒髪と言えば主要キャストの中では主役の奥村燐に絞られる。
誰よりも早く着いていた彼は物凄く集中して台本を読んでいるようで、部屋に入っていたことには気づいていなかったようだ。
うーん、声かけるのは悪いよな。
そそくさとその後ろの座席に座ろうとして、パイプ椅子をガチャンとその後ろの机にぶつけてしまった。
勿論音に気づいて奥村燐がこちらを振り向いた。

「は、初めまして……」

気まずい、非常に気まずい!
しかしそんなこちらの心情に反して奥村燐はニカッと効果音がつきそうな、眩しい笑顔で「こちらこそよろしくな!」と手を差し出した。
そして握手、シェイクハンド。

「うわー、実物見てみると可愛いな」
「……いえ、恐縮です」

あんまりバラエティーには出てないからどんな人かわからなかったけど気さくな人らしい、なんかカメラ回ってないところで面と向かって言われると気恥ずかしいものである。
しかも同い年だからタメ口で話そうぜと言われた。

「この台本読んでみろよ、俺なんて悪魔の役しかもサタンの息子なんだぜ」
「へ、へえ……かなりファンタジーなんだね」

まあ題名の時点でエクソシストとかいう単語が入ってるから普通のホームやら学園ドラマではないだろう、と思ったら舞台学校だった。

「弟の雪男は超エリートでモテモテの役とか妙にリアルでアイツの悪意を感じる」

そう、このドラマ台本をざっと読んでキャラクターとキャストを照らし合わせてみると関係性が実際と似ているのである。
例えば奥村兄弟と藤本獅郎は実際義理の親子だし、アイドルの神木出雲と朴朔子は非常に仲良しの親友だと専らの話だし。
……それにしても、私の役はどうなんだこれ。
「幼馴染みたいな役なんだし、お互い呼び捨てで呼ぼうぜ」なんて軽くハードルを越えられてしまったように、私の役は小学生のときに両親を悪魔に殺されて藤本神父引き取られた女の子。
その後雪男と共に祓魔師の道を目指し、云々。
……果たして入っていけるのか、業界屈指の仲良し双子に。
特に弟の方に煙たがれるような気がする。

「兄さん早く来てたんだね」

それから暫くして部屋に入ってくるなり兄貴の隣の席に直行した奥村雪男が、嫌味なくらい爽やかな笑顔で「よろしくお願いします、ミョウジさん」と挨拶してきた。
一応言っておくが、私と奥村雪男は初対面ではない。
彼が主演を務めたドラマのゲストで出た覚えがあるが……あの様子だと覚えてないな、確実に。
で、予想通りというか何というか台本を読んだ奥村雪男の態度が妙に刺々しかった。
"てめえ兄さんと僕の間に土足で踏み入ってくんじゃねーぞ"的な。

超人気イケメン俳優の奥村雪男は重度のブラコンである―――その噂は本当だったというわけだ。