※時系列なんて気にしない







「それじゃあ野郎共、お嬢のお友達もご一緒に!明けましておめでとう!」

あちこちで同様の声が上がり、乾杯の音頭が取られる。
桜小路家の新年会にコードブレイカーの面々(当然表上は桜の友人としてだが)もお呼ばれしたのだった。
先日私達が桜の護衛としてこの家に来たとき、彼女に差し向けられた刺客から守ったことを評価され妙にこの家の人達に気に入られているのである。
大神だけは父親に別の意味で警戒されているが。
普段だったら自分達の立場上こんな騒がしい場所に新年早々いることなんてない。
前のことでロストになったのに全く懲りた様子がなく宴会芸の手品に精を出している刻をなんとなく見ていると、不意に遊騎に腕を引っ張られた。

「にゃんママぁ……暑いねん」
「ゆ、遊騎、まさか酔ってる?」

見れば顔が真っ赤でどことなくぼーっとしている。
おい、どこのどいつだ明らかに未成年に飲酒をさせた奴は。

「いけない人ですね、私がお仕置きをして差し上げましょう」
「ちょっと待って、少なくとも私じゃないから!」

楽しげに瞳を光らせる平家に勘弁してくれと先程まで遊騎が座っていた席へと目をやる。
平家の手に新春姫初めプレイ的な本が握られていたが、全力で見なかったことにしよう。
机の上を見るとそこには何本も空になっている炭酸飲料の瓶が積み上げられている。
いやいや、まさか。

「もしかして、炭酸の飲み過ぎで酔った……とか」

漫画で炭酸に酔うとか見掛けるけど、本当にそんなことがあるのか。
対して遊騎は気持ちよさげな表情で、初めて見るくらいの満面の笑み。

「ゆ、遊騎君酔っているのか……?」

桜も遊騎の異変に気付き声を掛けてきたので、炭酸の旨を簡単を説明すると「母上に水をいただいてくるぞ!」と台所へ駆け出したので、お願いすることにする。

「にゃんママ、めっちゃ冷たい……」
「それは遊騎が熱いせいじゃないかな」
「なら温めたる」
「はい?」

そう言うや否や、ぎゅうと腰に抱きついて来るではないか。

「何してるんですか遊騎は」
「さあ……って寝てる」

先程から様子を見ていた大神が飽きれ気味で声を掛けてくる。
なら助けろよと思いつつも、いつもよりも年相応の可愛い寝顔で寝入る遊騎に思わず笑みが溢れるのだった。