※実際ゲームで出してくるポケモンとは一部異なります




「リンちゃんはもううちのジムバッチ持っているどころか、殿堂入りしているから規定のレベル操作は必要ないね」
「はい、非公式ですし全力でやりましょうよ」
「その言葉、後で後悔しないでくれよ」

基本的に通常ジムでは難易度に合わせてポケモンのレベルを調節している。
だが実際は彼等もその道を極めた者、専用の機械でレベルを下げる前のポケモンはとんでもなく強かったりする。
今回三対三のバトルに参加しないピカチュウは脇の椅子に座っているNの膝に乗せられて観戦だ。
N個人的には強制的にトモダチのレベルを下げる機械なんて、もし身体に悪影響があるようならどうするんだと内心思っていたが、ポケモンリーグで規定されていることをジムリーダーに言ってもどうしようもないことはわかっているので何も言わずにいた。
ジムにいるエリートトレーナー審判で試合が開始される。

「ヤルキモノ、切り裂く!」
「サニーゴ、固くなる!」

元々岩タイプな上に固くなるをされて更に防御を上げられては、大きなダメージを期待出来ない。
対してサニーゴが繰り出した水の波動によって混乱状態に陥ったヤルキモノは、わけもわからず壁にぶつかった。

「てっきり前と同じく格闘タイプのバシャーモで押してくると思ったよ」
「ジムリーダー様に、そう単純にはいかないと思って」
「確かにヤルキモノは格闘対策につばめ返しも覚えているから、それは賢い選択だ!」

手の内明かしていいのかと思ったが、どうやらそれさえも高揚感に繋がるらしくセンリさんは本当に楽しそうだ。
以前息子であるユウキが父を指して「バトル馬鹿」と称していたのはあながち間違いではないだろう。
間もなくヤルキモノは戦闘不能になり、続いてケッキングを繰り出してくる。

「ピカチュウは出てこないんだね、前みたいにでんじはをしてくると思っていたのだけど」
「それでからげんきされて痛い目見たら、もうその手は使いませんよ!」

普通ケッキングのような体力の多い相手には、状態異常にしてコンスタントに体力を減らすのがいいと言える。
しかしからげんきという技では、毒や麻痺、火傷といった状態異常時に威力が上がる。
そのときの事を思い出したのか、Nと一緒にいるピカチュウも苦々しげにケッキングを見ていた。

(彼等は、トモダチは何故こんなにもバトルが好きなのだろう……?)

特に最近Nが思っていることだが、本質的にポケモン達はバトルを楽しんでやっていることが多い。
かといって彼等が好戦的だとか気性が荒いとかではなく、本能的にバトルを好むのだ。
何故なのだろう、彼等と言葉を通わせられてもわからない。
自分もまだまだだな、と苦笑した。
そんな間にも試合は進んでいく。
きあいパンチを食らってしまったサニーゴは効果抜群で戦闘不能、リンは続いてサーナイトを出した。

「サーナイト、瞑想」

ケッキングの特性はなまけ、二回に一回は行動出来ない。
その特性を利用して折を見ては瞑想で特殊攻撃と特殊防御を上げていく。
ケッキングは物理の攻撃しかしてこない筈だから、厳密には特殊攻撃を上げようとしているのだ。
元々サーナイトは特殊攻撃が高いので、瞑想による補強もあって次に繰り出したサイコキネシスは非常に強力なものになった。

「流石だね、こっちは最後の一体だ」

と言いつつ負ける気はしないのか、残り一つとなったモンスターボールに手を伸ばす。

「このポケモンはジョウト地方に行った時に捕まえてね、ようやくなついてくれたところなんだ」

ボールから出てきたのは、茶色い巨体のリングマだ。
特殊攻撃が高まっている状態で再びサイコキネシスで攻撃する、が流石体力があるのかそれを耐えるとシャドーボールを繰り出した。
エスパーに対してゴーストは効果抜群、戦闘不能になったサーナイトを戻してリンも最後の一体をボールから出す。

「チルタリス、ドラゴンクロー!」

リングマの体力は先程のサーナイトの技によってかなり削られているはずだから、なんとか押しきれるだろう。
しかしリングマの方も強力な攻撃を仕掛けてくるから、長期戦に持ち込むのは得策ではない。

「チルタリス、ゴッドバード!」

チルタリスが力を溜め込む、その間切り裂く攻撃を受けるがどうにか持ちこたえて攻撃に繋げた。
最後はちょっとした賭けだ、これで決まらなかった場合体力をほんの少し残せば暴れるを繰り出す可能性があるし、ゴッドバードは三割の確率で相手を麻痺にする技だ。
当然このリングマもからげんきを覚えているはずだから、この攻撃で決められなければこっちが負ける。

(頑張って、チルタリス!)

結果は辛くもリンの勝利、「やっぱり強気ね」「いえセンリさんこそ冷や冷やさせられましたよ」と言葉を交わしあって握手した。

「……戦っているトモダチは、どうしてそんなに楽しそうなんだろう」

膝に乗せたピカチュウをギュッと抱きしめながらNは一人ごちた。
そんなNをピカチュウは不思議そうに見つめた。






≫えぬシンキング。シンオウでいうしょうぶどころみたいに、ジムリーダーは実際レベル高くて他の地方のポケモンも持ってるんじゃないかという妄想。てかピカチュウ抱きしめてるだと……?
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