イッシュ地方から来たばかりだという旨を伝えたところ、トウカジムのジムリーダーセンリさんは「随分遠くから来たんだな」と感心した様子で丁寧に教えてくれた。
このトウカジムは実質四番目にレベルが設定されているジムらしい。
まず一番にトウカの森を抜けてカナズミジムに向かい、それから海を越えていくといいと助言をもらった。
随分と行き先が点在しているものだと思ったが、そこは大人の事情だと納得するしかないだろう。

「そういえば君は、イッシュから連れてきたポケモンでジムに挑戦するつもりなのか?」
「……それについては、まだ悩んでいるんです」
「そうか…なら、ミシロタウンのオダマキ博士を訪ねてみるといい」
「オダマキ博士?」
「ホウエンではポケモン研究の第一人者と言われている人で、新たに旅をするトレーナーにポケモンも与えているんだ。息子も一年ほど前に博士にポケモンをもらったんだよ」

そういえばこちらに来る前にアララギ博士がホウエンの知り合いの博士に連絡を入れていたがその人だろうか。
アララギ博士から連絡があったなら礼儀として挨拶にいくべきだろうし、まだこちらに慣れていない自分としてはホウエンのポケモンがもらえるというなら魅力的な話だ。

「息子さんとは、先程電話していた……」
「ああ、恥ずかしい話だが父親をジムリーダーに持ちながらいつもミナモシティのポケモンコンテストに通いづめでな。最近ではろくに家に帰って来もしない」
「ポケモンコンテストですか」

ホウエン地方はポケモンコンテスト発祥の地だと聞いたことがある。
イッシュではもっぱら自分のポケモンを着飾って踊らせたりするミュージカルが行われているが、テレビ等で見た純粋にポケモンの魅力や技のパフォーマンスで勝敗を決めるコンテストの方が興味があった。
だがここからミナモシティはかなり遠いし、もともとジム攻略を目的としていたので寄る機会があった時に覗いてみようと思っていた。

「歳も同じくらいだから旅先で会ったら是非よろしくお願いするよ」
「いえ、こちらこそ」

一見怖そうな人だと思ったが、人は見掛けによらずいい人だと思いながらジムをあとにする。
ジムも聞いてみれば格闘ではなくノーマルタイプだということで。
だがノーマルだと侮るべからず、シッポウシティのアロエさんにもかなり苦戦させられた覚えがある。
トウカシティから東に行くとコトキタウンがあり、更にそこから南に進むところにあるミシロタウン。
センリさんによれば徒歩で約三十分程度で着くらしいが。
初めて足を踏み入れる地域、いろいろなポケモンを見たい。
これから本格的に旅が始まるかと思えば、自然に歩調が早まるのが感じた。






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