煙突山の麓に位置している温泉街、フエンタウン。
デコボコ山道を駆け下りて到着し、ひとまずポケモンセンターへ向かおうと街を歩いているとNは率直な感想を述べた。

「お年寄りが多いんだね」
『そりゃ温泉の街だもの、ここのお湯は腰痛とかリウマチにも効くって有名だし。それに交通の便も悪いから若い人はあんまり住みたがらないかもね』

街に来るためには一々ロープウェーに乗って煙突山の山頂まで行ってからさらにデコボコ山道を下りてこなくてはいけない。
観光の街としては発展しているが、定住しているのはやはりお年寄りが圧倒的に多いといえるだろう。

『温泉はポケモンセンターの中から通じているから、そこでいろいろ借りようか』
「他に行きたいところは?」
『カンポー薬の店に行こうかな、あそこのよく効くから』

あまりの苦さになつき度さえも下がると定評のあるカンポー薬だが、値段が非常に安いリーズナブルなお値段となっている。
甘いポケモン用のお菓子に混ぜたりしてあげたりもするが、やっぱり苦いのかこの前ピカチュウが不機嫌な顔になっていたが。
それからフエンジム、以前に訪れてジム戦をした時より一年ほど経っているがアスナはもうジムリーダー業に慣れているのか。
温泉施設に隣接しているポケモンセンターの自動ドアが開き中に入ると、見覚えのある赤い髪が目に入る。
それが誰か認識する前に当人が振り向き、顔を綻ばした。

「リンさん、久しぶり!」

話によるとちょうどジム戦が終わって回復に来ていたらしい。
マグマッグが頑張ってくれたんだ、と笑うアスナは相変わらずだ。
そちらは?とNの方を首を傾げて言うアスナに適当に紹介をする。

「君の、マグマッグっていうんだ……すごく悔しがってるね。地団駄を踏んでる」

いつの間にアスナの足元にいたマグマッグと会話をかわしていたのだろう、え?という表情のアスナに事情を知らない人の前でむやみにポケモンと話すとややこしくなるからと焦る。
取り敢えずどうフォローしたものかと思案していると、何故かアスナの表情がパッと明るくなった。

「マグマッグ、お前も悔しかったんだ!」

……単純、というかあまり深く考えない人で良かった!と少しばかり失礼なことを考えてしまったが嬉しそうにマグマッグとじゃれているアスナを見て安堵。

「それと聞いてよ、この前街でおじいちゃんやおばあちゃん達に変な文字の読み方を聞こうとした怪しい連中がいたんだって!」
『怪しい連中?』
「うーんと、黒ずくめで胸に赤い文字が入ってたって行ってたんだけど」
『!それって』

Nと顔を見合わせる。
間違いなくその服装はロケット団のお決まりだ。
大方読めない文字をご老人の知恵に任せようとでも思ったのだろう。
それにしてもアスナもフエンタウンの人達もニュースを見てくれ、この前からロケット団の話題で持ちきりだから。

『それって、読めたの?』
「ううん、誰も知らない文字だったって」
『それで怪しい連中は?』
「すぐどっか行っちゃったってさ」

アスナに聞いた話を頼りに砂風呂のところで和んでいたおじいちゃんに話を聞きにいく、ロケット団が解読したがっている文字を知るためだ。
おじいちゃんは快く差し出した紙に聞かれたという謎の文字を書いてくれた。

『なにこれ、点の集まり?』
「これは点字だね」
『点字?』

流石博識、見てすぐに文字の正体を見破ったNに脱帽。

「主に目が不自由な人のために作られた文字だけど、この辺りの地方では普及してないんだ」
『そんな文字を一体どうして読みたがったんだろう?』
「さあそこまでは……」

二人で悩んでいるとおじいちゃんが若いっていいのう!と笑った。

「お二人さんもフエンタウンに来たなら温泉しっかり入っていきなさい」
「そのつもりです。ね、リン」
『あの……つかぬことを聞くけど私達は一緒には入れないのよね?』
「え、昔オタマロが"男ってのは女と一緒に湯に入ってこそ真の漢だ"って……」
『なに意味分かんないこと吹き込んでんだあの顔面凶器!!』






>>オタマロ好きの方々にお詫び申し上げますorz
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