!腐った方面についてネタとして大量発生してますのでご注意





「ふ、藤吉……」

話題のまさに中心にいる人物は委員会の仕事中だったのか、辞典のような重そうな本を何冊も持ちながらも燐を見つけて目を輝かせながら走ってきた。
そのアグレッシブさに誰も重そうだから自分が持ってあげようとは言い出さない。
ちなみに最初に彼女の名前を呼んだのはアキラで、声が裏返っていた。
どんだけびびってんだ。

「奥村君サッカー部入ったって話本当だったんだね!」
「あ、いやー正式な部員になったってわけではなくって基礎練だけ参加してんだ」
「へーそうなんだ!サッカー部って基礎練からすごく大変って聞くからそれについていけるなんてすごいねぇ」

話を聞いている限り普通に明るくていい子そうじゃないか。
アキラは何をそんなにびびっているのだろうか。
若干この子の目が輝きすぎじゃないかと思う気もするが。
それは恋する女の子だから仕方ないとして。
しかしその直後、恋する女の子だったはずの彼女の口からとんでもない言葉が飛び出した。

「今までは相楽君×奥村君(リバ可)しか妄想出来なかったけど、これで幅がめちゃくちゃ広がるから大歓迎!」
「……へ?」
「私的には奥村君総受けで特に奈良橋先輩の鬼畜攻めがオススメで……そうだ奥村君弟さんとかいない?奥村君って兄属性だから、だからこそ弟×兄の下克上とか」
「す、ストープ!!」

おい何気にリアルに弟(双子だけど)いるの言い当てられてる!
おかしい、今のところ燐が青の祓魔師の主人公の奥村燐だと気づいたのは私とアキラしかいないのに(名前が漫画のキャラと同姓同名だよなーとも言われないから、ご都合主義的ななにかなのだろうと突っ込まないことにしている)

「あ、大丈夫です私NLもいけますから一条先輩もどんどん奥村君のこと攻めて」
「ちょっともう黙って!」

まさしくマシンガンの如く繰り出される言葉の羅列に皆わけがわからずポカーンとしている中、いち早く状況を理解して、というか我に返って止めに入った。
一応オタク的な属性(?)にいるのでそういうのが好きな人がいることはよく知っている(私自身はあまり興味はないが)
しかし燐に告白してきた可愛い後輩がまさかそっち方向で、しかも燐をネタに滅茶苦茶妄想されていたなんて……NLなのに攻めんの私かよ!という突っ込みもついでにしておく。

「はあ……」

アキラが一際大きな溜息をついた。
どうやらこのような状況になることを予測していたらしい。
ようやくあのびびりようも理解出来た、そりゃ誰だって自分と友人(男)とのHOMOを妄想されて超熱心に語られたらびびる。

「あ、あのさ……俺への告白って……」
「あれは奥村君がそういう意味で可愛くて好きだから誰かと早く付き合って……」
「やめて!燐のライフはもうゼロよ!!」

見事に撃沈していた。
これはもうトラウマになっても仕方ない。
人生初告白された相手に即行フラれ(ちょっと違う気もするが恋愛対象と見られていないとはそういうことだ)て傷心の燐は今にも魂が口から出そうな、漫画みたいな状況になっていた。
南無三。

「……まさかこういうオチになるなんてね」

奈良橋先輩でさえも予想外だとは、藤吉さんマジ恐ろしい子……!と全員の心の中が見事一致したのだった。






「それでは奥村燐残念会を開催しまーす!」
「パチパチパチ」
「勝手に人んち上がって傷を抉んなよ!アキラも拍手すんな!」

そう言いながら先日作っていて冷蔵庫に入れていた手作りのお菓子を振舞う燐よ、それでいいのか。
藤吉ショック(小早川君命名)に意気消沈していた燐を励ますために学校で別れたはずの彼等が押寄せてきたのは帰宅後間もなくのことである。
腐女子という存在を知らない燐にとってさぞかし理解不能な出来事だっただろう、結局自分が振られたという認識しか出来なかったのはある意味幸せだったのかもしれない。
今まで悪魔だのなんだの言われてきたから家族以外に好意を向けられるなんて初めてで舞い上がっていたようだから余計に。
だからこそ彼等がそんな心情を察して馬鹿騒ぎしにきてくれたのは有り難かった。
びーえるにはならないけど、燐を理解してくれている人はたくさんいるよ。

ちなみに余談ではあるが、この日を境に藤吉さんがよく絡んでくるように(本人曰く萌え的な意味で目の保養)なったのはまた別の話である。





※藤吉=ふじよし=ふじょし=腐女子(絶望先生ネタ)
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