「新しい湯沸し器がやっと……!」
「ずっとスタンドあてにされてたもんなぁ」
「殺した人数より風呂を沸かした回数の方が多いよ〜」
「比較対象がおかしいが、この際触れるのは止そう」
「暗殺者なんだから人殺してなんぼじゃんよ……なんぼにもならんけど」
「……なんぼ、の“なん”は何の“なん”だっつーのは解る。スゲー解る。だが“ぼ”って何だよッ!?イラつくぜ〜〜〜ッ!!」
「うわあああやめてやめて!湯沸し器を殴らないで!!殴るなら私を殴って!!」
「お前のこと殴るわけねぇだろ!ボケ!このギアッチョを、ほいほい女を殴るような男だと思ってンのかよ、テメェはよ〜〜〜」
「湯沸し器のことも大事にして!この子は私なのよ!」
「……寸劇と惚気はよそでやってくれないか。ベィビィの教育にディ・モールト良くない」
「メローネ〜〜〜ギアッチョとベィビィ連れてってよ。ご飯作りたいんだから」
「マードレみたいなことを言うんだな。俺の分も作ってくれるならいいぜ」
「適当なものでいいならいいよ〜」
「交渉成立だ。よし、じゃあギアッチョとベィビィは向こうに行っていような」
「クソクソクソッ!ガキ扱いすんじゃあねぇ〜〜〜」
「はいはい。いいこだから向こうでテレビでも観ていような」
「……メローネ、ギアッチョの扱い慣れてるな……。えー何作ろうかな」
「これ使え」
「うわっ!ビックリした!なんだ、イルーゾォか」
「なんだとはなんだ。お前らがぐだぐだ喋ってるから出てこられなかったんだろうが」
「うーわ傍若無人〜〜〜!つーかナニコレ?」
「見りゃ解るだろ。タコだよ」
「なんで?タコ?鏡からタコ?」
「ペッシと釣り行ってきた」
「そのペッシは?」
「プロシュートに呼び出されて昼飯行った」
「イルーゾォは行かなかったの?」
「……誘われてねぇ……」
「(あっ……)」
「あっ……て顔するな。余計に傷付く」
「じゃ、じゃあイルーゾォもここで食べる?みんなこれからだし簡単なもので良ければだけど」
「許可する」
「わーお傲慢〜〜〜!」
「で?何作るんだ?」
「あっ手伝ってくれる系?」
「まさかだろ」
「ですよね〜〜〜。タコな〜〜〜取り敢えず一度煮ないと……」
「ちゃんと内臓処理しろよ」
「うええええグロい……イルーゾォやってよ」
「許可しない!手が汚れるのは許可しない!」
「もおおおおお!タコより人の内臓取る方がマシだわ……!!」
「墨!墨がはねるのも許可しない!」
「ちょ、イルーゾォ煩い!デカイし邪魔だからあっち行ってよ!」
「寂しいこと言うなよ」
「寂しがりやで我が儘ボーイか!!面倒くせ〜なァ〜〜〜!!」
「ほ、包丁を振り回すことは許可しない!」
「刺されたくなきゃとっととタコ洗いな!」
「お、横暴だぞ!!」
「イルーゾォだけには言われたくないね!!」
「……なァ〜〜〜メローネよ〜〜〜さっきっから聞こえてくるあいつらの声によォ、俺は昼飯に全く期待が持てねぇ」
「食えりゃあいい」
「そりゃ料理って言わねぇだろーが」
製氷器と瞬間湯沸し器 その3
料理しない人に限って料理を語るよね。
2019/07/01〜2019/07/31
お料理の定義